カルチャー
作家・天藤湘子さんインタビュー

女性の方がシャブから抜けられないってホント? 覚せい剤使用体験を綴った作家が語る天国と地獄

2016/05/17 20:30

■注射と炙りの効き方の違い

 清原被告が逮捕された時、注射器を持っていたと報じられたが、天藤さんも注射器を使用していた。

「覚せい剤の結晶を砕いて水に溶かすのですが、慣れてくると血液で溶かすこともあります。注射器に覚せい剤だけを入れて針を刺し、血液を入れてまた戻すんです。もうこうなると、かなりの中毒症状ですね」

 ただし、著名人は「炙(あぶ)り」で使用する例も多いという。炙りとは、覚せい剤をガラスパイプに入れたり、アルミホイルに並べたりしてライターで炙り、気化した煙を口や鼻から吸い込む方法だ。

「炙りはポンプ(注射)と違って効き目がゆるやかで、体がふわふわした感じになります。音や音楽が気持ちよく聞こえるので、ライブハウスやクラブで使う人も多いのだと思います。注射だと頭がグリグリになる感じで、音は聞こえすぎてしまい、かえってイライラしますね。炙りでもセックスはそれなりに気持ちいいですが、私には注射の方が合っていました」

 炙りは注射針で刺さないので注射痕がつかず、禁断症状もほとんど出ないので、日常生活にもあまり支障はないようだ。

「私の不良仲間の中にも、親や友達にバレないように、炙りで使う子も多かったですね。でも、注射も炙りも依存症になる度合いは変わりません。使っていると口の中が乾いて、独特の口臭と体臭がしてくるところも同じです。どんどん体はボロボロになり、妄想がひどくなっていきます。電柱が人に見えたり、友達が自分をバカにしているような気がしたりしていくんですね」

■家族の支えに感謝

 そんな地獄から「生還」できたのは、家族のおかげだった。

「母はいわゆる極妻タイプではなく、優しい人でした。父は酒癖が悪かったのですが、母のおかげで私たち家族の関係は悪くありませんでした。父が病気でヤクザを引退し、事業がダメになったこともあり、私も家族のためにも男と別れ、覚せい剤をやめようと思えたのです。実は、別れる時にもひどい暴力を受けましたが、なんとか振り切れました。部屋にこもって水を大量に飲み、ごはんを食べては眠る生活を続けることで、何とか元気になっていきました。両親はすでに亡くなりましたが、きょうだいとは今でも仲よくしています」

 覚せい剤の地獄から立ち直り、ホステスをやめて『極道な月』を出版。その後は娘を出産している。

「いろいろありましたが、おかげさまで娘は健康に生まれてくれて、すくすくと育っています。私が文章を書けるのは家族のおかげなので、とても感謝しています。清原さんは奥様とは離婚されているそうで、この後が少し心配ですね。子どもの頃からスターだった清原さんが薬物に溺れるからには、よほどのことがあったのでしょう。清原さんには、まだまだできることがたくさんあると思いますので、今後の御活躍を期待したいです。周囲の支えは不可欠ですね」

 『極道な月』は、覚せい剤や暴力だけではなく「家族」も重要なテーマになっている。薬物依存から抜け出す、大きなヒントの一つといえるだろう。
(伏見敬)

天藤湘子(てんどう・しょうこ)
1968年生まれ。ヤクザの組長の娘として生まれ、壮絶なイジメや覚せい剤に溺れた過去などを綴った『極道(ヤクザ)な月』(2004年文芸社・現在は幻冬舎アウトロー文庫所収)がベストセラーとなり、海外14カ国語に翻訳されている。「週刊実話ザ・タブー」(日本ジャーナル出版)で『極道な月』の続編を連載中。

最終更新:2016/05/17 20:30
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