カルチャー
元レディース総長のソーシャルワーカー・中村すえこさんインタビュー

罪を犯した人がやり直すために何が必要か 元レディース総長が、行き場のない少女たちを支える理由

2016/04/05 15:00

■「幸せになってもいいんですか?」

――女子少年院で講話を続けられています。

中村 国内の9カ所すべての女子少年院にうかがいました。少年犯罪の背景には貧困や虐待、いじめなどがありますが、親も貧困ですさんだ生活をしてきたケースも多いですね。子どもの問題だけではないと痛感しています。

――どのようなお話をされているのですか?

中村 再犯での逮捕など「失敗」した人には、「明日からまたがんばるんだよ」「何度でもやり直せるんだよ」と伝えています。人は何度でも変われます。「この私だってできたんだから大丈夫!」とお話しています。

 少年院の人数はそれほど多くはないので、質問を直接受けることもあります。その中で、「幸せ」に関する質問がいくつかありました。親に愛されずに育つと、「幸せ」がわからないんですね。「不良の自分が幸せになってもいいのか」って。

 もちろん事件を起こしているのですから被害者感情の問題もありますが、誰にでも幸せになる権利はあると思います。少年院できちんと反省して更生し、社会でやり直すチャンスをつかめればいいのではないでしょうか。それを応援することができればと思っています。

――中村さんが収容されていた頃と比較すると、現在の少年院はいかがですか?

中村 私の時代は「元気で反抗的な子」が多かったと思います。大人に対して「ノー!」と言いたいんですね。でも、今の女の子は、社会で恵まれず、被害者的な面を持っている子も多いと感じました。
 また、施設の更生プログラムも厳しさよりも楽しむことが増えているようです。私たちの頃はグラウンドをひたすら走らされたりしてクタクタでしたが、今は楽しくエアロビクスをしたりしています。だいぶ様変わりしましたね。

――今後の活動は?

中村 実は春から通信制の大学生になって、幼稚園や小学校の教員免許を取る初等教育を専攻します。きちんと勉強して活動に役立てたいですね。

 以前、ホリエモンこと堀江貴文さんとお話をさせていただいた時に、「前科者」と言われると傷つくし、それによって再犯も増えるというようなことをおっしゃっていました。過去に罪を犯しても、精一杯更生しようとしている子たちを支える社会に変えていきたいと思います。
(伏見敬)

中村すえこ(なかむら・すえこ) 1975年生まれ。作家、ソーシャルワーカー、食育アドバイザーとして活躍。中学2年でレディースの「紫優嬢」に入り、卒業後に総長就任。ケンカに明け暮れて少年院へ。出院後は結婚、出産、離婚などを経て2009年に出院者の自助組織「セカンドチャンス!」を立ち上げたほか、現在「セリエ中間施設」を準備中。この春から通信制大学に入学、初等教育を専攻。

最終更新:2016/04/05 15:00
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