カルチャー
[女性誌速攻レビュー]「ar」9月号

「本能に従え」と説く「ar」のモテ特集、「男はやっぱりコンサバが好き」と矛盾した方向に……

2015/08/29 16:00

 そのほか、「イヤなものはイヤ! 自分にウソはつかないように、正直に」など、とにかく「ありのままに」「本能に忠実に」と説いています。これって要するに、本能=性欲ということですよね? ヤリたいときは何も考えずに股を開けと。メイクやファッションの傾向から見て、「ar」は能天気なヤリマン指南書と言っても過言ではないでしょう。

 近年のヤリマンのイメージはとてもポジティブ。ヤリマン=自立した女、ヤリマン=自由な女くらいの先進的なイメージがついています。「ar」が「雌ガール」という言葉を初めて使ったのは、2012年12月号のこと。振り返れば、シルクラボが女性向けAVのリリースを開始したのは09年。『女医が教える 本当に気持ちのいいセックス』(宋美玄、ブックマン社)が出版されたのは10年。湯山玲子氏がテレビ番組で「光合成女子」を提唱し話題となったのも10年。そういった流れの中での「雌化」「本能主義」なのかと思われます。

 しかし、近頃は、「実はアラサーになって性欲減退する女性が続出!?」(「女子SPA!」2015年5月25日)という話もありますし、女子の奔放なセックス話に飽きがきた雰囲気も感じられます。性は人それぞれ。私たちは野獣じゃなくて人間だし、メスじゃなくて女ですからね。本能、本能言われても困ります。いまだにはやらせようと必死な感がある「雌ガール」、いつまで続くんですかね……。

■「ar」における、おフェロメイクへの自信が崩れる

 「能天気なヤリマン指南書」と前述しましたが、「ar」は決して多数の男からチヤホヤされることをよしとしていません。「ar」の理想は、「ひとりモテ」。すなわち、1人の大好きな彼に長く愛されることが大切であり、「男全般に媚びること」は否定しています。すなわち、「媚びること」は自分に嘘をついていることになり、「本能的」ではないという理屈なんですね。

 カバーガールの鈴木えみは「ひとりMOTE天国」で次のように語っています。

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