カルチャー
伊藤忠ファッションシステム・中村ゆい氏インタビュー

「あした、なに着て生きていく?」キャッチコピーが示す、女子の“気分”とファッションの“空気”

2015/05/17 19:00
Photo by 淳平 筈井 from flickr

――その世代の価値観に近いというルミネのキャッチコピーからは、例えば、「恋は奇跡。愛は意思。」(15年春)、「いつまでも 愛し合って 何度だって 恋に落ちる。」(12年クリスマス)など、ファッションにも恋愛要素の重要性が感じられます。

中村 プリ下、そしてプリ上世代は、ギャルの全盛期を経験していますから、大人でカッコイイこととともに「セクシーであること」を好む人が多いと思います。そういったセクシーな要素をファッションに取り入れることが好きな世代なので、恋愛の要素とも無関係じゃないでしょうね。もちろん、細かく見ていくと、セクシーやモテを意識している人もいれば、ファッション性を意識してあまりモテを意識していない人もいるとは思いますが。ただ、「モテのためにオシャレを頑張る」という感覚は、今の時代的にはちょっと薄らいできているのかもしれません。

――では現在、ファッションと恋愛はどんな関係性にあるのでしょうか?

中村 「20代のファッションが、その時代の空気を表す」という点から考えると、ハナコジュニア世代、その下のLINE世代は、ネットで他人の行動を常にウォッチしているせいか、自分の分をわかっている人が多いというか、自分自身のマーケティングができちゃう世代なんです。だから、そのマーケティングに合ったテイストに落ち着いてしまって、まったく違うファッションに振り切ったりしないんですよ。モテに関しても、「まったくモテたくない」ということはないんですけど、それを声高に言って、ファッションでアピールすることは、あまりしなくなりつつあるんじゃないかと思います。

――最後に、これからのファッションは、どうなっていくと思われますか?

中村 メイクなどを見ても、90年代のような、ナチュラルな空気がリバイバルしつつありますね。頑張る、盛るという傾向はもうしばらくなさそうです。その代わり、気負いのなさや軽さを求める感覚が、しばらく続くと思います。アースの企業キャッチコピーである「あした、なに着て生きていく?」は、「生きていく」という言葉が強く感じるかもしれませんが、実は、洋服を着ること、生活をファッションに合わせることが目的なのではなく、生きている現実、生活にファッションをいかにフィットさせるか、といったことを問いかけているんじゃないかと思うんです。消費において、ファッションはそれ自体が目的ではなく、生活の不可欠な一部としての役割が大きくなっていくのかもしれません。
(取材・文=西森路代)

中村ゆい(なかむら・ゆい)
伊藤忠ファッションシステム(株)ナレッジ室所属。一橋大学大学院社会学研究科博士後期課程在籍。会員制マーケティング組織「ファッションアスペクトクラブ」の運営に携わりつつ、生活者とファッションの関係性を切り口に、消費動向を分析している。

最終更新:2015/05/17 19:00
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