カルチャー
[女性誌速攻レビュー]5月号

他者の目線を欲する「AneCan」の、“察してちゃん”ファッションが重すぎる!

2015/04/26 16:00

■潔いまでの自己顕示欲!
 ファッション企画「鉄板焼き系の店に行くから始まり、合コン未満の食事会、ライブに行く、元彼と会うetc 細かすぎるシーン別『こんなとき、何を着る?』」。この手の細分化コーディネート特集は1月号にもありましたね。きっと好評だったのでしょう。前回は、「休日デート編」や「彼ママ訪問編」など彼氏絡みのシーンが多くあった一方、今号は彼氏関係は「LIVEへGO!」中の1シーンしかなく、食事会やジムで新しい出会いを模索するシーンばかり。当たり前のように、いつも隣にいた恋人の存在は消えていました。

 提案されてるシチュエーションを見ていきましょう。「女友達のBDパーティで、初めましての男性と意気投合。これって友達?それとも恋?」では、「主役を引き立てる柄スカートで、図らずも自分もそれなりに目立っちゃうの巻」から始まり、「旅先で取るのはセルフィー 景色は二の次」では、「ミーハー柄をまとってSNS上でさりげなくおしゃれアピール」。……図らずも目立ったり、さりげなくおしゃれアピールしたりと大忙しですね! BDパーティも旅行も一切楽しまず、興味があるのは他人から羨望される己の演出のみ。そういう欲望って普通恥ずかしくて公言しないもんですが、もう声高に潔く言っちゃいますよ、「AneCan」は。「私に羨んで! 主役は私でしょ!」!

 続けて、「心にさざ波、それとも嵐?元彼に…会う」では、ヨリを戻す・戻さないの2パターンが紹介されています。新しい彼がいて復縁はナシな方のコーディネートは、「今の私はもう、あなた色には染まりませんから♪」というメッセージを込めて、全身ホワイトでキメ。白って「あなた色に染まります」的なアピールかと思いましたよ。なかなか難しい白のメッセージ。そして、ヨリ戻し希望コーディネートは、「恋の予感や要素が1mmでもあればそこはスカートの出番です(笑)」とのことで、薄いブルーのノースリーブニットに、白いスカート。恋の出番にはスカート……う~ん、この2コーディネートの発するメッセージの違いがわかる男はいるのかしら? 女の私でもメッセージを誤解しちゃったし、大前提として「こう読み取ってほしい」ことを他人が察してくれるワケないですよね。アネサーは30年近く生きてきて、いまだ“察してちゃん”のようです。

 他人の目線を意識して振る舞ったり、ファッションに無言でメッセージを込めたりと、「AneCan」は観客や相手がいないと生きていけない模様。もちろん、それで本人が楽しければ問題ナシですが、そうして生きてきた先達・押切さんの姿からちゃんとメッセージを受け取っていただきたいものです……。
(白熊春)

最終更新:2015/04/26 16:00
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