カルチャー
[女性誌速攻レビュー]「美人百花」4月号

キラキラ女子への誇大妄想!? 「美人百花」、疑問だらけの“広告代理店女子”信仰

2015/04/08 17:30
「美人百花」2015年4月号(角川春樹事務所)

 「美人百花」(角川春樹事務所)はポエムが多いということは以前指摘しましたが、もちろん今月号も多いです。例えば「買ったばかりの新作で春の街へおでかけ♪」というページでは「レディなブラックドレスで背伸びして、今日は最高のワタシを見せてあげる(ハート)」、「春のスカートまつり」では、「振り向くたびにふわっ(ハート)うれしくて楽しくてどこまでも歩いちゃいそう」と、ご機嫌です。自分で自分を称賛するというのはいいことだとも思いますが、「今日、私が欲しいのは“いつもと違うね”って彼からのホメ言葉」ともありますので、自己満足ではなく、「美人百花」な女性の周りにいる人にも、ポエムな反応を期待しているみたいです。お気を付けあそばせ……。

<トピック>
◎買ったばかりの新作で春の街へおでかけ♪
◎広告代理店勤務、美香の「忙しい新年度でも毎日オシャレ!」な1カ月着回しスケジュール
◎まおみシンプル&里香レディの肌寒い春をのりきるための1カ月着回しスケジュール

■幻の広告代理店女子

 今月号はまず、「美人百花」の1カ月着回し企画「広告代理店勤務、美香の『忙しい新年度でも毎日オシャレ!』な1カ月着回しスケジュール」を見ていきましょう。モデルの美香さんが、「某広告代理店に勤務して7年目の30歳、プロジェクトリーダーを務めることも増え、現場ではすっかり頼られる存在に。ただいま仕事も彼との関係も安定感バツグン、さらなる飛躍を目指してがんばる日々です」というキャラクターで登場します。

 この美香さん、プロジェクトリーダーだけあって、休日返上でプロジェクトリーダーと顔合わせ、連日のミーティングもこなして、クライアントと会食して、市場リサーチのためショッピング、プレゼンに向けて資料室で1日格闘、撮影スタッフと打ち合わせ、プレスでコーデチェック、ロケ撮影、クライアントの了承を得て納品と、かなり本気な仕事ぶりなのですが、その間にママと会食したり女子会したりデートしたりと大忙し。確かに、こういう人はいるのかもしれませんが、「日本のアラサーの何パーセントだよ!」とツッコミたくなりました。そもそもこんな全方位的に完璧女子が「美人百花」を読むのか? と疑問を持ってしまいました。

 いや、もちろん「美人百花」を読む女子も頑張っていると思うんですよ。でも、男性と同等に長時間労働していることが予想される代理店女子は、最初こそ「女子力も捨てないように頑張ろう!」と思っていても、次第に「そんなことに構ってられるか」となっていくはず。その上、リーダーともなると、人に舐められてはいけない職業ですから、女子らしい甘い服装よりは、デキる女と見られる服装を選ぶのではないでしょうか。「美人百花」を読む人は、いい意味でも悪い意味でも、肩肘張って生きるような女性ではないと思うのですが……。

 ただ、広告代理店の内幕を描いた映画『ジャッジ!』の中の北川景子演じるクリエイターのひかりは、華やかな美人である上に有能でしたから、ごくごく一部にこういう人もいるのかもしれません。というか、多分この「美香さん」のモデルの一部にはなっていることでしょうが、「美人百花」の想定する読者層がブレている気がしました。

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