カルチャー
[女性誌速攻レビュー]「nina’s」11月号

日用品は外国製なのに、七五三は伝統的に! 良妻賢母が愛国と結びつく「nina’s」ママ

2014/11/01 19:00

 読者ママたちが熱狂するその理由は、アイテムに込められたストーリーなんですね。クリエイティブなおばあちゃんからのプレゼントを大切に使う、写真はスマートフォンじゃなくてデジカメでひと手間、木のぬくもりがある色鉛筆はドイツ製、ゴートミルク配合のボディシャンプーは肌に優しい……。アイテムに良き母である自分を憑依させて語るというこの高等テク、オシャレの最前線で戦うには、これくらいの手練手管が必要です。

■「手作りはしょせん自己満足」が通じない人たち

 先ほどの特集でも、海外デザイナーの一点ものアイテムより上位にランク付けされていたのが「手作り品」。テキトーなものをテキトーに使うのが許されないオシャレママの世界では、おもちゃ一つとっても下手に扱ったら人形の髪の毛が伸びてくるんじゃ……というくらい念を込めまくるのです。手作り推奨企画「ハンドメイド、はじめましょ(はぁと)」では豊田エリーが「毎年、(子どもの)誕生日に1つずつ、編んだものをプレゼントする、って決めているんです」と語っています。なんという試練のバースデイ。

 全国の読者たちの力作も多数掲載されています。完成度が高すぎるイラスト上履き、3度の飯より好きな北欧ブランド「マリメッコ」生地のポンチョ、パールのつけ襟から入園式用セットアップまで本気のラインナップ。よく友達にプレゼントするという「家族や友達の似顔絵ビーズバッジ」なる作品もあり、これまたばあちゃんのチラシ籠が脳裏をよぎりました。手間が重たい……。

 「nina’s」においてのハンドメイドとは、幸せな家族の通過儀礼のようなもの。避けては通れぬイベントなのです。そんな意味ではこちらも同じ“通過儀礼”、「我が家の七五三。」もオシャレ家族の深淵をのぞくようなページ。洗剤やクリームやオモチャは外国モノが大好物なのに、イベントに関してはニッポンの伝統を重んじるというのが「nina’s」のお約束。土着的な儀式儀礼は最高にクールジャパンですから。

 ここでの注目は、最近「nina’s」で連載を始めた葉山スローライフ系ninaママの七五三。スタイリストの夫に専業主婦の妻、3人の子どもに愛犬と、絵に描いたような「nina’s」家庭です。常に夫を立てるセンス抜群ノーメイク妻は、七五三でももちろん要所は夫にお任せ。「古き良き昭和の時代をイメージした」ということで、着物はどれもアンティーク、ヘアスタイルはオーセンティックな日本髪、千歳飴袋はオリジナルで制作するなど、細部まで手を抜かない圧巻の七五三。「『孫の七五三も一緒にお祝いできますように』と祈願しました」という言葉に、大いなる親の愛と同じだけの子どもへの圧力を感じずにはいられませんでした。

 母性、そして愛国。単品だと少々味濃い目のこれらアイテムも、オシャレと組み合わせれば一般読者にもちょうどいい味わいに。思想を薄めてポップにすることにかけて「nina’s」の右に出るものはありますまい。そう、オシャレとは最強のプロパガンダなのです。
(西澤千央)

最終更新:2014/11/01 19:00
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