カルチャー
『なんかおもしろいマンガ』あります ~女子マンガ月報~【10月】前編

相次ぐマンガ誌休刊の中、“売れるマンガ”の役割と少女マンガ誌の危ういスタンス

2014/10/21 19:00

【雑誌】マンガ誌としてのアイデンティティを守り続ける「フラワーズ」

 といった流れで雑誌の話をするのも気が引けますが、少女マンガ誌も多くが「容れ物」化しているのもまた現実です。例えば「ココハナ」(集英社)には私が大好きな東村アキコ先生『かくかくしかじか』や水城せとな先生の『脳内ポイズンベリー』、くらもちふさこ先生の『花に染む』、勝田文先生の『マリーマリーマリー』などが連載されていますが、たぶんこれらの作品が好きな人はあんまり読まないのでは? と思われるような毛色の異なる作品もまた同じくらいの数が連載されているのです(良し悪しの話ではありません、念のため)。もともと「ヤングユー」や「コーラス」など複数の少女マンガ誌が統合されて成立した雑誌ですので、テイストの混在もまた致し方ないのでしょうが、しかしそんな「ココハナ」が商業的にはいま非常に調子が良いようで、やはり大ヒット作の存在こそが鍵なのだと思い知らされます。むしろこの雑然とした感じが「雑誌」っぽくて良いのかもしれません。

 そんな中、雑誌としての一貫性を感じさせる数少ない少女マンガ誌が「フラワーズ」(小学館)です。ベテランから中堅に至るまで隙のない連載陣、そしてデビューする新人もまた「フラワーズ」的な個性ある作家ばかりで読み逃せません。最近では『いちばんいいスカート』の谷和野先生がイチオシですが、11月号では期待の新鋭・花めい子先生の短期集中連載『いま考えてることわかる?』がスタートしました。ふとしたきっかけで人の心が読めるようになってしまった主人公のリアクションがいちいちおかしいラブコメディです。その一方で、なんと『× ―ペケ―』『うまんが』『ろまんが』の新井理恵先生の新作が久々に掲載されています。たったの4ページですが、これを機にまた連載していただけないものでしょうか。ちなみに今号は『海街diary』と『失恋ショコラティエ』が神回でした。そして次号では久々の岩本ナオ先生の新作が登場します。超楽しみです。

【後編につづく】
 
小田真琴(おだ・まこと)
女子マンガ研究家。1977年生まれ。男。片思いしていた女子と共通の話題がほしかったから……という不純な理由で少女マンガを読み始めるものの、いつの間にやらどっぷりはまって遂には仕事にしてしまった。自宅の1室に本棚14竿を押しこみ、ほぼマンガ専用の書庫にしている。「SPUR」(集英社)にて「マンガの中の私たち」、「婦人画報」(ハースト婦人画報社)にて「小田真琴の現代コミック考」連載中。

最終更新:2014/10/21 19:21
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