カルチャー
『美容整形と<普通のわたし>』著者インタビュー(前編)

美容整形はなぜ批判されるのか? 整形患者の「普通になりたい」願望の深淵

2013/12/14 16:00

――日本の場合、整形している女性を激しく嫌う男性が多いので、言いにくいという面もあると思います。インターネットでは、「この女優は整形している」といったうわさ話とともにバッシングされるケースが後を絶ちません。

川添 整形したと名指しされた有名人が、雑誌やネットで叩かれるケースはほかの国にもあります。いずれも整形は「偽物」という認識があるのでしょう。美容整形が“過剰なこと”とみなされている面もあります。また整形するということは、意志をもって自分を変えるということですから、そういった「強いイメージ」の女性に引いてしまうのかもしれません。

――整形大国で知られる韓国では、女性の整形に対しては否定的ではないのですか。

川添 私が調査を開始した90年代から「目は整形のうちに入らない」といった声もありましたので、そこまで強い拒否感はないように思います。誰もが憧れるような「生まれながらの美男美女」なら、整形しなくて済むということになりますが、実は私たちは「生まれたままの身体」を生きているわけではありません。私は「人間は身体を加工する動物である」と捉えています。

――「身体を加工する」とはどういうことでしょうか。

川添 「加工」というと何か特別なことをイメージされるかもしれませんが、首に長い輪を巻いたり、耳たぶに大きな穴を空けたり、イレズミなどのことです。ミャンマーのパダウン族の女性は5歳頃から金製の首輪をはめて首を長くします。イレズミは、ヨーロッパのアルプス山中で発見された紀元前5,000年頃の人(「Ice Man」)をはじめ各地で見られます。縄文時代の人たちも、歯を削ったりピアスやイレズミをしていたと考えられています。

 こうした「加工」は、変わった習俗とか、自分には関係ないことと思われがちです。でも、私たちも、例えばウエストを細くするためにダイエットやエクササイズしたりします。靴を履いていて外反母趾になることもあるし、姿勢や歩き方でも体型は変わってきます。人の身体は、オギャアと生まれた後、形態から仕草や所作に至るまで加工されます。ただどのように加工するかは、時代や社会で違います。人間には、自分が属する社会の価値観や世界観による「当たり前の身体」や「理想の身体」像を踏まえて加工する文化があるんです。「未加工の、ありのままの身体」は誕生の一瞬だけ。だから、“自然であること”に過剰な幻想を抱かない方がいいと考えています。

(後編につづく)

最終更新:2013/12/15 23:22
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