カルチャー
[女性誌速攻レビュー]「nina's」7月号

「nina’s」のママは、ママ友不要? 友だちになる基準はやっぱり「オシャレ」

2013/06/13 21:00

 Part.3「中学生・小学生の先輩ママにこれから起こることを聞いてみた!」も、乳幼児~就学前あたりのお子さんに自分の趣味をガンガン押しつけているオシャレママたちに「そんなことできるのは今のうちだよ!」と冷や水浴びせる格好の企画ではありますが、登場する少年少女はみんな自分から中学受験を申し出るよい子だし、先輩クリママたちは「ゲーム機を買い与えない」「好きなことはとことんやらせる」など素晴らしい育児理念を貫いてるしのダブルファンタジー。エロ動画サイトにアクセスする子や「ババアうるせぇ」と悪態つく子のいない世界。「nina’s」ママたちの覚めない夢は、こうして続いていくのです。

■自分の世界から1ミリもはみ出さない友人関係

 今号を見ただけでわかるように、「nina’s」はリアルの生臭さにオーガニックアロマオイルをぶっかける雑誌。そんな「nina’s」が生臭さ&きな臭さナンバーワンのママ友問題に取り組んだら、一体どんな結論を導き出すのでしょうか。それをあぶり出したのは「きっかけは? 関係を続けるには? いいママ友の作り方」。

 ママ100人アンケートによると、ママ友は平均18.4人、知り合ったきっかけは「児童館」「幼稚園」を抑えて「元から友達」が第1位でした。どうやら「nina’s」周辺においては、出産する前から友達だったママを「ママ友」としている方が多いようです。覆面座談会でも「(ママ友を)積極的に作ろうとは思えない」「元からの友達でママになったコがいれば、他にママ友はいらないな」と、子どもを媒介した友達関係に引き気味の意見が。「ママ友っていうかママの知り合いって感じの仲。よく会うけど、連絡先は知らない! みたいな」「そういう人、いるいる(笑)」だそう。「ママの知り合い」って、スナックの常連客みたいな会話ですね。

 次ページでは「私たち、いいママ友です」と題して、仲良しママ友たちを取材。「元から友達のママ友」「mixiコミュニテイつながりママ友」「ママ・親子イベントつながりママ友」などなど、ママ友たちの集合写真を見てびっくり! みなさんテイストが一緒! 読モ仲間のママ友たちは、サンダルに白い靴下履いたり花柄のミニワンピにミリタリーなシャツを合わせちゃう系、mixiコミュつながりママ友たちはバッグといえばヴィトンかキャスキッドソン系。集団の中で浮いている人が誰もいません。そうか、場を荒らされないという安心感があるからこそ「私たち、いいママ友です」と言えるのか。クリエイティブつながりママ友のこんな一言に、それは集約されています。

「ここにいるママたちは、別に意識的に引き合わせたわけではないんです。たまたまイベントで会ったり、共通の友達がいたりして、なんとなく集まったという感じ(笑)」

 同じような行動範囲、趣味、交友関係があるママでないと一緒にいられない、まさにクリエイティブという名の檻ですわ。すなわちママ友の関係においても「おしゃれかどうか」というのが重要になってくる。オシャレはもはや個人の嗜好ではなく、人付き合いにおける1つのバロメーターとしても機能しているのです。それはトラブルを事前に避ける生活の知恵。「ママカースト」という言葉が世間を賑わせておりますが、「nina’s」においてはヒエラルキーというよりゼロかイチか。世の中には「おしゃれなママ」か「そうじゃないママ」の2種類しかいないということのようです。
(西澤千央)

最終更新:2013/06/13 21:00
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