=海外ニュース通信=

米・LGBT夫婦の妊娠出産インタビュー、「家族の意味するもの」をめぐり大反響

2017/09/04 21:30

 LGBTとはL(レズ)G(ゲイ)B(バイセクシャル)T(トランスジェンダー)の頭文字をとった言葉で、そんな彼らを表す通称。世界中のLGBTによる熱心な活動により、ここ日本でも認知度が高まり、理解も増えてきたのではないでしょうか。2015年(平成27年)の10月には、渋谷区で日本初となる同性婚を承諾することが決定(同性パートナーシップ証明の交付)し、芸能界でも、一之瀬文香と杉森茜さんが同性婚を約2年ほど前に公表し、残念ながらこの5月に破局してしまったことは、記憶に新しい出来事です。LGBTの活動でみると、レインボーパレードと呼ばれるLGBTのイベントも東京だけでなく全国各地で開催され、世間の関心もここ数年で高まっています。しかし、LGBTについての先進国といえる欧米諸国、特に米国の理解や関心度はやはりすごい。

 米国で大きな反響を呼んでいるブログがあります。それはLGBTの“夫婦”が実子を授かったという記事。妊娠・出産に至るまでの経緯をFacebookに公開した彼らは、世界中で注目されました。そんな彼らのインタビュー記事が、アメリカの人気ニュースブログサイト「BUZZ FEED」に掲載されています。

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BuzzFeed Newsより

What To Expect When You’re A Trans Dad Expecting

 オレゴン州ポートランド在住のトリスタン・リーズさん(34歳のLGBT男性)とその夫のビフ・チャプローさん。2人は2010年に共通の友人の主催するトランスジェンダーコミュニティで出会いました。彼らには養子2人(ビフさんの実の姪と甥)と実子、計3人の子どもがおり、子どもたちからは、トリスタンさんは「Daddy」、ビフさんは「Dada」と呼ばれています。

 トリスタンさんが妊娠9カ月の頃(臨月)、「BUZZ FEED」は彼らの自宅に訪問し、この経験をネットで公開した理由、LGBTで親になることとは、そして、彼らのようなLGBTの家族に待ち受けている未来とは何かを、インタビューしています。今回は、トリスタンが語った大変興味深い内容を、抄訳、一部を再構成してみなさんにお伝えします。

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 養子を引き取り、妊娠を決意するまで――「自分の遺伝子がそんなに特別か?」

 同棲してから3カ月後、1本の電話があったんだ。ビフの姉の子どもたちが、「引き取り手がいなければ養護施設に行くことになる」って。それで、「僕たちが引き取れるのか?」って聞いたんです。それから1年が過ぎ、再度電話がきて、僕たちが子どもを引き取らないなら、ビフの姉は子どもを取り戻すことができなくなると、はっきり伝えられました。そうなると、僕らは、おそらく子どもたちにもう二度と会えないことになる。だから、答えはハッキリしてました。「もちろん、僕たちが引き取ろう」って。

 これは、僕たちが結婚すること以上に、大きなことでした。それはつまり、18年以上一緒にいようという決意でもあったから。僕たちは毎年、子どもたちを引き取ったその日を「家族の日」として祝ってます。その日は、子どもたちが僕たちに質問できる日の1つ。彼らは、毎年違う質問をしてきて、その内容で僕たちは子どもたちが成長していることを確認してるんだ。子どもたちも理解してるんだって。

 それでも僕たちの生活や、父親としてのアイデンティティに子どもは悩まされている。こう疑問に思った瞬間があります。「この決断を元に戻すことはできないか?」って。きっと僕は父親ではなく面白い叔父さんになるべきだって。

 僕がトランスジェンダーになった時、決して結婚したくなかったし、生理も嫌だった。家、車すら欲しくなかった。僕はいつも、恋にも何にも縛られない自由な身でいたかったんだ。家族を持つことを、自分自身諦めていると思ってたし、オプションとしても考えていなかった。実子が持てるなんて夢にも見たことはなかった。まず始めにそんなことは不可能だと思っていたし、2つ目に、そんなことができる強い人間になるには時間がかかったんだ。

 以前は、妹の出産をからかっていたんだ。どうして子どもが欲しいの? 自分の遺伝子がそんなに特別か? って。でも今の僕をみてよ。子どもたちは僕の遺伝子じゃないけど、すごくスペシャルだ。ビフの遺伝子だから。

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