10代で「イケてる女子観」を固定化する『Rの法則』の罪深さ

NHK Eテレで放送中の中高生向け番組『Rの法則』(月~木、18:55~19:25)をご存じだろうか。10代の「気になる話題」をピックアップして高校生の視点でリサーチとランキング化を行い、すぐに&将来役立つ話題を伝えるという情報番組だ。

現在アラサーの私自身はEテレにも10代向け番組にも興味はないものの、未就学児の子育て中であるので夕方はEテレにチャンネル合わせる日々を送っており、なりゆきで『Rの法則』を視聴することもあるのだが、しばしばドン引きしている。何がヤバいって、10代の子に向けた価値観の刷り込みがヤバすぎるのだ。同番組に限ったことではないにしても、はっきり「10代向けです」と謳いながらこの内容で、いいんだろうか。

◎こうして女子は「女子という生き物」にされていく

『Rの法則』では、NHKの秋鹿真人アナウンサーに加えてTOKIOの山口達也がMCを担当。「R’s(アールズ)」と呼ばれる現役10代の出演者たちも、何かしらの芸能活動(ジャニーズJr.や女性アイドルグループに所属していたり、モデルをやっていたり)をしているタレントが多く、その日のテーマに沿って彼ら自身が意見を出し合うこともあるのだが、2000年代の『真剣10代しゃべり場』のように価値観がぶつかり合って修羅場じみた展開になるなんてことはなく、絶えず穏便に、明るい雰囲気のまま番組は進行する。そういえばゲスの極み乙女・川谷絵音のイマカノ「ほのかりん」も未成年飲酒報道で降板するまでは「R’s」だった。

番組のテーマとなるのは、恋愛、友達、オシャレ、ダイエット、勉強、部活……といった10代のありとあらゆる関心ごと。街を歩く10代にリサーチしたり、出演陣が議題ごとにYES/NOに分かれて意見を言ったりしながらも、最終的には専門家が登場するケースが多く、専門家によるファッションセンスやヘアメイクテクを磨くための“方法”や、ダイエット(たとえば美ウエストになるためのエクササイズ)の“方法”、異性と絡みやすくなるための“方法”、友達に誤解を与えない“方法”などが紹介されていく。たぶん、わかりやすくて実践的であることを心がけているのだろう。ただし、そのわかりやすさが私には問題に見える。これでは悩みの張本人である10代はほとんど何も考えなくてOKだし、テーマそのものに対する疑問を持ちようもない。ただ正解だけが提示されていく。

最近だと、4月5日放送の「シリーズ・Rの偉人伝“世界三大美女”」。世界三大美女である、クレオパトラ・楊貴妃・小野小町の3名を引っ張り出して、彼女たちがいかにモテまっていたか、いかに男を虜にする存在だったのかを力説して、今でも使える世界3大美女のモテテクを大公開! である。たとえば、小野小町のモテテクは男ウケする和歌を参考にしてメールを作ってみよう、ポイントは“妹のように甘える感じ”で、「ご飯いこー」と書くよりも「今度、ゆっくり話せたらいいな♡」が望ましい……といった具合だ。根本的な部分、そもそもモテるとは何なのか? モテない女子はダメなのか? といったところには一切触れられていない。10代女子=モテたい、モテるとうれしい、そんなの当たり前だよね、というルールに則って番組は進行していく。女の子なら可愛くなりたいよね、男子と絡みたいよね、モテたいよね、愛されたいよね、それが自然だよね、というルール。

つまるところ、この番組はイケてる10代を過ごすための指南書、トリセツになろうとしているのだろうが、多感な10代に対して「イケてる人間とはこういうもの」と規定し、それを成し遂げるための方法を刷り込んでどうするんだ? と私は思うのだ。「モテ・オシャレ・友達多い・女子力高い・空気読める」といったイケてる女子像を固定化しているところに不安を覚える。そこから外れるティーン女子は、亜流?

現代社会が形成した価値観を、大人である番組制作側が素直に肯定してしまっていいのだろうか。そこはむしろ、10代に「自分はどうしたいのか?」と問いかけるべきところではないのか? なにより、特にコミュニケーション面でルールに則った正解をあっさり提示してしまうことが視聴者にとって良いのか。10代にいちいち考えたりクヨクヨウダウダ悩んだりする余地を与えないのって、すごーくヤバイことだと思うのだが。

「女子はかわいくありたい」「女子は男子にモテたい」「女子はダイエットしたい」の3つの前提に関しては、とりわけ露骨に繰り返される。10代のうちに、女子に生まれたからにはかわいくオシャレにスタイルよく料理上手でコミュニケーション能力高く(=女子力高く)なってモテたいよね!と、女らしさの固定概念をシャワーのように浴びせられて(どころかどっぷり浸かってしまって)、女子は「女子らしく」成長していく。20代、30代になってせっかく行動範囲や選択範囲が広がったのに、思春期に学習してしまった「女子はこうあるべき」思考から脱却できず、思春期同様の狭苦しい世界で生きている女性たちは、今もたくさんいる。

小さなことに悩んだり迷ったりイラついたり、時にそんな自分を持て余してしまう10代。わかりやすいトリセツがあれば、それに乗っかりたくなるなるものだろう。じゃあ、トリセツを用意して導いてあげよう、というのも親心のようなものかもしれない。けれど我が身を振り返ると、「モテとかキラキラとか、面倒くさ~」と感じつつ、周囲の空気を読んでちょっと頑張っていたあの頃。ルールに則ったりしなくて良かったのに、自分を抑圧していたと思う。自分の本音から目を逸らしちゃいけなかったよな、と自分の10代を振り返って私は思う。ティーンエージャーをターゲットにしたテレビ番組をやるのだったら、社会的に形成された価値観に合わせてうまくやっていく方法より、そこから自由になる道はないのか共に考える姿勢を求めたい。



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