伊藤比呂美トークイベント ライブ版『女の一生』

「人と関わらなくてもいい」「どんな夫も“金太郎飴”」伊藤比呂美『女の一生』の教え

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『女の一生』(岩波新書)

 女が人生でぶち当たるさまざまな悩みに、詩人の伊藤比呂美さんが答えた『女の一生』(岩波新書)。その「ライブ版」となるトークイベントが開催され、伊藤さんに直接悩みを聞いてもらえる貴重な機会ということもあってか、早くから満員となった会場は静かな興奮に包まれていた。

 伊藤さんは10代で摂食障害を患い、20代と30代で2度結婚、離婚している。娘たちを連れて渡米し、20歳以上年上の英国人と、再再婚。そしてアメリカと熊本を往復しながら、両親を介護し看取った。娘として、妻として、母として、女の人生で経験していないことはないのではないかと思えるほど幾多の修羅場を乗り越え、その局面ごとに精力的に作品を生み出している。自身や娘の摂食障害を綴った『あかるく拒食ゲンキに過食』『あかるく拒食ゲンキに過食 リターンズ』(平凡社)。子育て期には『良いおっぱい悪いおっぱい』(冬樹社)、『おなか ほっぺ おしり』(婦人生活社)など。娘たちの思春期には『伊藤ふきげん製作所』(毎日新聞社)、自身の更年期や親の介護期には『閉経記』(中央公論新社)、『父の生きる』(光文社)。おまけに『犬心』(文藝春秋)で愛犬の看取りまで。著作を通して、伊藤さんの人生と自分の人生を重ね合わせている読者も多いだろう。

 事前に集められた来場者からの「悩み」はすでに箱いっぱいで、人生の酸いも甘いも知り尽くした伊藤さんが導く人生指南への期待のほどがうかがえる。伊藤さんは登場するやいなや、一刻たりとも無駄にしないと言わんばかりに、寄せられた悩みを次々と俎上に乗せていく。

 職場の人間関係に親子関係、恋愛相談、子どもの性教育。老いていく自分と、これからの人生について……。悩みは人間の数だけあるようで、でもどこか普遍的でもある。伊藤さんは、あちこちから投げられる変化球を、次々と鮮やかに打ち返していく。中でも、“効きそう”な伊藤さんの金言を、いくつかさらっていこう。まずは男女関係について。

■50代からの男女関係は“自由”?
 婚外恋愛中だが、家庭を捨てて相手との関係に深く踏み出そうか悩む30代には、「婚外の関係はちょうどいい」。伊藤さん自身は、30代で“ちゃぶ台をひっくり返す”ように家庭を壊している。「“焼け野原”へと踏み出した私から見ると、どんな夫でも“金太郎飴”。どこを何回切っても同じようなもの」という名言にドッと笑いが起きた。「一緒に何年か暮らすと、どんな男も同じ夫性を持つし、こっちも同じ妻性を持つ。こんなことなら、最初の夫でよかったと思ったりする(笑)」。経験者ならではの説得力ある言葉の前には、どんなに荒ぶった心も静まるだろう。

 「寄ってくる男には皆女がいる」と嘆くバツイチ50代には、「怖いならやめる。興味あればつきあう。ただ年を取ると、寄ってくる男はガクッと減るんだから、寄ってくる間に応えてあげればいいんじゃない?」。更年期を過ぎれば、男は不要になり、「猫を抱いてればよくなるのよ」という。

 「これから老いていくばかり。何を人生の目標にすればいいのか」という50代には、「死ぬことを目標に」という言葉をかける。伊藤さんは、親の死を機に、それまでファンタジーだった「死」の暗い奥底を見たのだという。「今は、死という箱のふたを開けて覗き込んで面白がっているところ。ここを見ていれば、あと30年くらいあっという間にたつでしょう」。50代からは死をみつめる。会場に前向きな気分が満ちた。

 また伊藤さんは「更年期ほど面白かったものはない」という。「妊娠や結婚は女友達と共有してこなかったけれど、閉経は同じ世代の女性と共有して語り合うことができた。そして更年期を過ぎると、女同士で手をつなげるようになり、本当にラクになった」。妻でない女はいるが、娘でなかった女はいない。それゆえ、親が介護を迎える前後に、女たちは手をつなげるようになるのだという。また、男に対してもガツガツしなくなるそうだ。「一生セックスしなくてもいいけど、しようと思えばできる。恋心や性欲がなくなるわけじゃないけれど、『だからどうした』みたいな(会場爆笑)。パートナーとも新しい関係が生まれる」と話し、そして、それが50代の女が得る“自由”だと話す。

委員長の言葉を胸に、立ち上がれ漢たち!

しぃちゃん

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