彼氏持ちのゲイ男性が、人前でビッチキャラを演じざるを得ない理由

 2013年11月から「Lollipop-Rumikoのビッチなう。」という連載をさせていただいている私。ありがたいことにもうすぐ丸2年です。連載タイトルに使っている“ビッチ”は、“性に自由な女性”というニュアンスで使っていますが、罵倒表現として使われるケースもあります。さらに、自称/他称によって大きく意味が変わってくるのではないでしょうか。

 今回、お話を聞かせてくれたのは、そんな他人からのビッチ扱いに違和感を覚えている男性です。アメリカでは男性にも使われるビッチという言葉ですが、日本では圧倒的に女性を指す表現として用いられることが多いはずです。一体なぜ……。

「それは僕がゲイだからだと思います」と話すサラリーマン・Aさん(29)は、仕事先や家族を含めた周囲の人々にゲイであることをカミングアウトしています。そのことを「思ったよりも受け入れてくれた人が多かった」としつつも、ビッチ扱いには違和感を覚えているようで……。

――ビッチ扱いとは、具体的にどういったことなんでしょうか?

A「例えば飲み会の時とか、いわゆるイケメン男性の隣に座らされて『よかったじゃん!』って言われたり。みんな、僕がゲイだからイケメン男性の隣に座れて嬉しいに違いないって思ってるみたいで。事故的に男性の体に触れちゃった時も、『積極的じゃん』『ホントビッチだなー(笑)』『お持ち帰り狙い?』とか、はやしたてられるんですよ。僕は彼氏がいることもみんなに話してるんですけど、それでもビッチ扱いされてて」

――そういう時、Aさんはどんな反応をするんでしょうか?

A「最初は、周りがはやしたててくる相手の男性について『僕の好みじゃないよ』とかはっきり言ってたんですけど、そうするとなんだか空気が悪くなって。そういうのがめんどくさいんで、最近はビッチを演じてます。男性の肩に寄りかかってみたり。それで場は盛り上がるんですけど、もう疲れました……。タイプでもない人を好きなフリしても楽しいワケないし、相手の男性は笑ってる人が多いけど本当は心底嫌がってるかもって心配になるので、あとから『ごめん』って謝ったりしてます」

――そうですよね。もしAさんが女性だったらセクハラ・パワハラ事案になっていてもおかしくないのに、ゲイ男性にならそういういじりをしてもいい、むしろ喜んでるに違いないっていう共通認識があるとしたらおかしいですよね。

A「多分、みんなが持ってるゲイのイメージって、『男好きで男の体をベタベタ触る』っていうものだと思うんですよ。テレビとかでオネエタレントが『や~ん、イケメ~ン!』と若手俳優に喜ぶみたいな。もちろん、ゲイの中にはとにかく男好き、男に触りたいっていう人もいるけど、僕はそういうタイプじゃなくて。それに僕は男の姿で男を愛するゲイで、別に女になりたいワケでもなく、オネエとも違うのに、その辺をごっちゃにしてる人も多い。だから、恋愛対象が男性なだけで中身はただの男なのに、ヤリチンとは言われずにビッチって言われるんだと思います。そもそもビッチな行動もしてないんですけどね」

――メディア発のゲイのイメージを押し付けられていると。

A「あと、ゲイっていうとなぜかトーク力や面白さを求められて、『ゲイにまつわるおもしろエピソードないの?』と聞かれたり、『ゲイなのになんか大人しいね』って言われたこともあります。これもテレビに出ているオネエタレントや女装家さんのイメージが強いせいかもしれませんが、ゲイだって口数少ないヤツとか、何の面白みもないヤツもいます(笑)。男も女も、いろんな性格の人がいるっていうのはみんな知ってることなのに、LGBTだと途端にそこから外されちゃうんですよね」

――「ゲイならこういう性格に決まってる」という考え方は、浅はかですし不自然すぎますね。

A「カミングアウトする前は『言った途端、みんなに避けられたらどうしよう』と思っていたし、受け入れてくれたことは本当に嬉しいんですけど、『カミングアウトしてるんだからいじっても問題ない』って思ってる人が多いことは不本意です。腫れ物に触るような扱いをされるよりは、自分が演技してでもイジられてたほうが楽かなとも思っちゃいますけど、やっぱり腑に落ちない部分はありますね」

 男でも女でも、セクシャルマイノリティーでも、個々人の性格が違うのは当然です。誰しも何かに対して自らの経験だけを頼りにしたステレオタイプな見方をしてしまうことはありますし、自分の中での価値観を持つこと自体は悪くはありません。ただ、それを相手に押し付けるのはあってはならないこと。Aさんがビッチを演じることなく過ごせる日が早く訪れてほしいものです。
(Lollipop-Rumiko)

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