ファミコンといじめ。ひとり親への偏見を子供に伝えないで!

 娘ちゃんから「かぁか〜! Wiiとマリオカート欲しい!」とねだられたら「ねー! かぁかもマリカー欲しい!!! でも、かぁかデッドオアアライブ(格ゲー)の方が好きなんだよね~」と、適当に流し続けて早2カ月。シングルマザー女子大生の上原由佳子です。

 今回は……の前に! 皆様にお知らせがあります。なんと、今週から「シングルマザー女子大生・上原由佳子の事件簿」が、隔週から毎週になりました☆ この連載の話をいただいた時もドキドキしましたが、まさか編集部から毎週連載の提案があるとは思っていなかったので、嬉しさのあまりスキップしたい気持ちでいっぱいです。というわけで、皆様これからもよろしくお願いします。

 前々回、「昭和家電と貧困」について書きましたが、上原家はゲーム機も昭和のまま。そう、いまだファミリーコンピューターから更新されていないのです。平成生まれの娘ちゃんが遊んでいるソフトももちろんファミコン。「テトリス」「スーパーマリオ」「星のカービー」「ロックマン」ばかりやっています(笑)。

 読者の皆様が小学生のころは、どんなゲームが流行っていましたか? それこそこの原稿を書いている横で娘ちゃんが遊んでいるファミコンのソフトや、「たまごっち」「ポケモン」などでしょうか? そして流行のゲームとともに思い出すのは友達から、「え? お前、ゲーム持ってないの? ダサッ!!(笑)」と言われた/言った/言われているのを見たといった、ほろ苦い記憶じゃないでしょうか?

 上原が小学生の頃も同級生の間ではそんな「人と違うこと」が許されない空気がありました。でも大人になるにつれて、いろんな価値観を自分なりに受け入れる努力をする人が増えていく……はずです。そうであって欲しいと思いますし、そうありたいと上原は思っています。

 ひとり親世帯の子どもが「お前ん家、お父さん/お母さんいないくせに!!」とか、あるいは祖父母に預けられているために「お父さんもお母さんもいないんだろ!!」と友達からイジられて、傷つくことも珍しくないと思います。今となっては、上原と娘ちゃんの間で笑い話になっていますが、実は娘ちゃんも「人と違うこと」で傷ついていた時期がありました。今回は「人と違うこと」という、ちょっぴりデリケートなテーマに触れてみたいと思います。

◎「親いないだろ!」と言われた娘ちゃん

 上原の娘ちゃんは、学校のお友達が大好きで、先生のお手伝いも率先してやる子です。趣味はパズルとLEGOで、好きなテレビ番組はサスペンス系ドラマ。少しぬけている部分もありますが、保護者面談では「落ち着きがないね★」「いつもキャッキャッしている」という評価を受ける、どこにでもいる明るい6歳児です。しかし、そんな娘ちゃんが保育園に通っていた4歳児の頃、一度だけ「保育園行きたくない」と泣きついてきたことがありました。

 娘ちゃんに、「どうして?」と理由を聞いたところ、「お友達がね、『お前!! お父さんもお母さんもいないくせに!!!!!』って言うの」とのこと。娘ちゃんが保育園に通い始めた頃に、上原はフルタイムのアルバイトを始めていました。朝8時には家を出て18時に退社。それから猛ダッシュで高校に行き、22時半ごろに帰宅する生活でしたから、保育園の送り迎えは祖母にお願いしていました。

 まあ、想定できる範囲の子ども同士のいざこざではあるのですが、まさか保育園児が、しかも4歳児クラスで「親いないだろ」発言があるとは考えもしませんでした。「小学生くらいになったらあるだろうな〜」程度に思っていた上原が甘かった(苦笑)。

 とりあえず、娘ちゃんに「かぁかは仕事も高校も行ってるから、事情を知らない人から見ると親がいないように思えるのかもしれない。でも、ちゃんと娘ちゃんとの時間は大切にしたいと思ってるし、かぁかが出来ることはするつもりだよ。本当にごめんね」と謝り、「ひとり親世帯に対する世間のイメージ」と「人と違うこと」について話してみました。

 恋愛の原稿にも書いたとおり、ひとり親世帯はあまり良いイメージを持たれていないことが多いこと、そして少数派だからイジられるネタになってしまうこと、「人と違うこと」を受け入れられない人も少なからず存在して、受け入れられない人にも理由があって、そういった人達の考えも理解する必要があることを伝えてみました。4歳児に(笑)。

 すると「お友達に、どうしてあんなこと言ったのか聞いてみる!!」と娘ちゃん。上原は娘ちゃんが話し合おうとする姿勢を持ったことに、嬉しくて涙腺が緩みそうになりました。

◎なんとなくかわいそう、なんとなく叩く

 後日、友達に話を聞いた娘ちゃんから報告を受けた上原は、激しい憤りを覚えます。

「お友達のお母さんが言ってたんだって!!」

 話し合いができた達成感と、友達が直接的に「親が送迎しないなんてヘンだ」と思っていないことを素直に受け止め、屈託ない笑顔で話す娘ちゃん。でも上原には娘ちゃんの笑顔がとても切ないものに見えたし、どう返事して良いのかも分かりませんでした。

「そっか〜。ちゃんと話できたなら良かったね!! かぁかは保育園の送り迎えはできないし、学校あるから行事に参加するのも難しいし、お友達のお母さんの“普通”とウチは違うんだろうね」とだけ話しました。

 大人になると多様性を受け入れようとする。そんな考えは甘かったと後悔しています。ゴシップ的なネタとして、自分と違う人達の存在を扱ってしまう大人も少なくないかもしれない。娘ちゃんの友人の保護者がどんな話をしていたのか詳しくはわかりませんが、それでも、娘ちゃんのことを思うと、この保護者が自身の子どもに話した内容は、上原の理解を絶するものです。これが、保育園児同士だったから良かったのかもしれませんが、幼稚園児や小学生になると話はより深刻になります。少しずつ子供同士の仲良しグループが作られるようになる時期ですし、「人と違うこと」が排除の対象になりかねません。

 誰かを吊るし上げて人を傷付けて楽しさを感じても、それは一瞬の快楽でしかなく、自身の快楽のために人を傷付け続けるのは好ましくありません。ましてや、その快楽のために大人が、「自分と違う人」排除することを子ども達のコミュニティにまで持ち込むなんてもってのほかです。

 でも、よくよく考えてみると大人同士でのひとり親に対する偏見って、目を背けたくなるくらい酷いものばかり。普段から「子どもがかわいそうだ」とか言われるし、何か悲しい事件が起これば「ひとり親だからだ」とか言われるし、若い母親なら性的な対象として攻撃されますし……。

 表面的な部分だけを面白おかしく取り上げて、課題としては考えてないんだろうな、と思ってしまいます。上原としては、そういう扱いをする人達の考えも理解したいです。とはいえ、どんなに理解しようとしても、正直……かなり難しいです。

 上原の周りだけかもしれませんが「かわいそうだ」とか、「ひとり親だから」とか、そういう論調の人達ほど、ひとり親が置かれている環境をデータで見たことが無かったり、どうしてそうなるのか考えたことが無かったり、思考停止している気がしています。こちらが理由を尋ねても「なんとなく」とか、「だって、かわいそうじゃん?」とか、感情論での返答が多いため、共感することはできないし、理解するのも難しくなってしまいます。どうしたら理解を得られるのかは、上原の今後の課題にとっておきます(笑)。

 まあ上原としては煮え切らない部分もあるのですが、娘ちゃんいわく「え? かぁか居るし、かぁかも学校行ってるんだから仕方ないでしょ」らしいので、何も言うまい!!!(笑)

 ……とはいえ、未だにファミリーコンピューターで時が止まっている上原家。そして今日もファミコンのスーパーマリオをしている娘ちゃん。きっと、同級生はNintendoDSやWiiで遊んでいるはず。ファミコンという「人と違うこと」がきっかけで、また娘ちゃんがイジられることがないよう、かぁかは願っています☆

■上原由佳子/1988年生まれ。沖縄県在住。シングルマザー女子大生。女子力の欠片もなさを小学1年生の娘ちゃんから指摘される、どうしようもない系アラサー女子。

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