ローティーンの欲望はどこにある?

「ランウェイ応募に1億円が動く」JS向けファッション誌、女子カルチャー勝因に迫る














 出版不況で多くの雑誌が休刊する今、毎年着実に広告収入を増やし、今年は2年連続で前年比130%を達成した絶好調の女性誌がある。その名も、JS(女子小学生)高学年向けのファッション誌『ニコ☆プチ』(新潮社)。能年玲奈や新垣結衣ら人気女優を数多く輩出してきたJC(女子中学生)ファッション誌『nicola』の妹誌にあたり、その実売は毎号8万部以上。野々村真・俊恵夫妻の愛娘である香音ちゃんがトップモデルを務め、彼女が誌面で着たキッズウェアは問い合わせが急増する「香音売れ」現象も起きるという。そして、この3月には『ニコ☆プチ』の妹誌として、さらに下の、幼稚園年長組から小学校低学年をターゲットにした『ニコ☆プチKiDS(キッズ)』が新創刊されるに至った。ファッション誌の低年齢化と活況。その実態を目の当たりにすべく、4月末に行われた『ニコ☆プチ』と『ニコ☆KiDS』のファッションショー『ニコ☆プチガールズコレクション』に、潜入取材してきた。

■「女の子からあこがれられたい」男モテ目線不在の強さ

 会場の有明・TFTホールには、全国各地から集まった全身キメキメのJS読者たちで溢れかえっていた。この『ガールズコレクション』は、約9,000通の応募から選ばれた400名の読者モデルが、本人のスタイリング&母親のヘアメイクでランウェイに立つ。それだけに、ハイティーンや20代向けファッション誌で流行中の服をまんまミニサイズ化したような“最先端ファッション”で皆キメている。ガーリー系はもちろん、セクシー系やパンチの効いたギャル系まで、さまざまなテイストのファッションが混在。そして、キッズの隣には、プロ顔負けの手つきで娘の着こなしやヘアスタイルを最終調整する母親たちの姿がある。ショー開幕前の控室は気迫に満ち満ちているのだ。

 そしてついに、ファッションショーがスタート。香音ちゃんのウォーキングとダンス&歌のステージの後に読者モデルたちが登場したが、その本気っぷりとモデルとしのて自負心に驚かされた。ランウェイの先に待ち構えるテレビカメラに臆することなく、AKB48も顔負けのハツラツとした表情でウォーキング&ポーズを披露。そこには恥じらいは一切ない。

 ショー終了後の落ち着いたところを見計らって、来場した親子に突撃インタビューを申し込んだところ、和歌山から参戦した亜美ちゃん(仮名・小6)と、お母さんが快く応えてくれた。服にこだわる理由は、男の子にモテたいという気持ちもあるの?

「それは全然ないです。どんなにお洒落しても男子には違いが分からないし。それより、私が『ニコ☆プチ』を読んで、香音ちゃんや服をカワイイと思うみたいに、周りの女の子の友達から『その服カワイイ!』とあこがれられたいです。将来の夢は、モデルさん」

 とハキハキ話す亜美ちゃん。お母さんも「自分たちの子ども時代とは明らかに違って、子ども服のブランドも種類も驚くほど多様化しました。子ども用のパンプスや、網タイツ、キャバ嬢みたいな服もあって、たまにびっくりしますね。雑誌と最新カタログでカワイイ服を探すのが日課です」と続ける。ユニクロやしまむらの服は、やっぱり嫌なんですか?

「朝学校に行くと、服が好きな子同士でコーデの上から下までチェックしあうのが習慣で、『それ、○○○のブランドでしょ?』って当てられる。もしユニクロを着ていたら『え?ユニクロ?』って驚かれるし、私もその日1日テンションが上がらない……」(亜美ちゃん)
「小さい頃からカワイイ服ばかり着せてきた私の影響でしょうね(笑)。子どもにそこまでお金をかけるなんて、と批判されることもありますが、この子が喜んで可愛くなる姿を見るのが何より幸せなので、頑張っています」(亜美ちゃんのお母さん)

 続いて声をかけたのは、福岡と山口から来た幼稚園児ママのお二人。キッズブランドが主催するイベントで知り合ったという。母親として『ニコ☆プチKiDS』創刊をどう捉えていますか?

「創刊されると知ってうれしかったです。やった、雑誌に出られるって! 『ニコ☆プチ』は小学生にならないと載れないですからね。自腹で東京に撮影に行くのは大変ですけど、雑誌に読者モデルとして載るのもある意味目標だから、やっぱり行きます。過去に買った『ニコ☆プチ』も捨てずに取っておいて、よく見返しますよ。去年の今頃はこんなのはやってたなぁって」

 雑誌文化は衰退の一途を辿っているのかと思いきや、バックナンバーも捨てられないという雑誌のファンもしっかりと存在しているのだ。『ニコ☆プチ』の強さはここにある。

「モテ」を徹底的に排除すれば女子カルチャーは育つ

しぃちゃん

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