[連載]マンガ・日本メイ作劇場第31回

ウブな高校生カップルに神経が参る! 『ハツカレ』の途方もないドキドキ感の理由

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『ハツカレ1』/集英社文庫

――西暦を確認したくなるほど時代錯誤なセリフ、常識というハードルを優雅に飛び越えた設定、凡人を置いてけぼりにするトリッキーなストーリー展開。少女マンガ史にさんぜんと輝く「迷」作を、ひもといていきます。

 突然ですが、ものすごーく臭いトイレに入ったとしましょう。「オエッ! クサ!」っとなっても、すぐに最初ほどの刺激はなくなってきます。そのため安心して、しばらく個室で過ごせますね。これは、同じ臭いをかぎ続けると、嗅覚が順応して鈍感になってしまうためです。毎日香水をつけている人が、どんどんつける量が増えていって、そのうちものすごい臭いを発するようになるのも、自分ではその香水の匂いをかぎ分けられなくなって、つける量が増えていくためです。逆に、普段は感じないのに、長期の旅行から帰った時だけ、お家の臭いがするのもコレのせいです。

 しかしこの能力のおかげで、人間は、いつまでも同じ臭いに悩まされてストレスを感じることはありません。人には、気温や光の強さといった環境に順応して、心や体をよりよい状態に保つ機能があるのです。

 実は恋愛のドキドキというのも、ある種ストレスがかかっているのと同じ状態なのだとか。ストレスとは「危険から逃れられないという緊張感」を指します。そのため、ドキドキハラハラするような恋愛感情は、まあそんなに長続きはせず、すぐに収まって心が順応してしまうのです。じゃないと、ストレスで神経がすり減っちゃうでしょ。

 ……が、『ハツカレ』(集英社)の主役カップルの2人はすごい。付き合い始めてから1年たっても、まだまだドキドキし続けてます。ずっと顔赤らめてます。すごい、すごいよ君たち! 人間の「順応」という能力を完全に消し去った新人類!

 『ハツカレ』は、女子校に通う主人公のチロに、男子校に通うハシモトくんが告白するところから始まる。そこに、チロのクラスメートのちゃーちゃん、チロの幼なじみでハシモトくんのクラスメートのイブシという当て馬たちが登場して、デートしたりドキドキしたりする話である。

 チロとハシモトくんが、いつまでたってもドキドキしてるのには、ワケがありそうだ。一体その理由はなんだ?

 まずハシモトくんがチロを好きになった理由を見ていこう。「毎朝ホームで見かけてかわいかったから」である。確かにリアルな恋愛なんて、始まりはそんなもの。大した理由がある訳ではない。

 だいたい口も利いたことのない相手を好きだなんだと言い出す場合は、間違いなく「こうに違いない」「きっとこんな子だ」と妄想が膨らんでいるものだ。ゆえに、実際に付き合ってみたら相手の反応がまったくの想定外だったりすると、「思ってたのと違った」「冷めた」と言って、さっさと別れてしまうことも多い。

BBAの心臓にはきつすぎる~

しぃちゃん

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