[女性誌速攻レビュー]「日経ウーマン」11月号

「日経ウーマン」が脅嚇! おひとりさま予備軍に「産めなくてもいいの?」

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「日経ウーマン」11月号/日経BP社

 朝晩の冷え込みも徐々に厳しくなってきましたが、「日経ウーマン」11月号の表紙は、なぜか真夏の海を思わせるブルー地に、スポーティーな白ワンピ姿の米倉涼子……。いかにもイイ女風に腕組みポーズでキメているけれど、もしかして寒くて震えてるのかな、男が肩に上着かけてくれるの待ってるのかなと、ついつい勘ぐってしまいますね! そんな季節感のない表紙とは打って変わって、今月の大特集は、この時期の「日経ウーマン」定番の手帳企画、その名も「人生が変わる!新☆手帳術」。手帳1つでどのように人生が変わってしまうというのか、期待大です。

<トピック>
◎人生が変わる!新★手帳術
◎おひとりさまのマネー計画
◎婦人科系トラブル、これで解消!

■「婚活手帳」に見る自分大好き力

 先月号の「日経ウーマン」レビューでも、「女子力」企画や「リアルごはん」企画の裏テーマが、「自己肯定」になっていると書いたのですが、今回も「『自分をもっと好きになる』手帳の書きかた、教えます」という企画が。「日経ウーマン」は、手帳に対して、スケジュール管理以外にも何か壮大な付加価値を求めているようです。

 具体的には、「ライフログ(日々の記録)」と「目標管理」を担うのがウーマン流「新★手帳術」。「ライフログ」の方は、献立や読んだ本、生理日を記録したり、1日の反省事項を書きこんだりと想定の範囲内の内容ですが、「目標を叶える手帳術」では、単に今年一年間の目標を書きだすだけでなく、生理後一週間を「ヤセ期」としてダイエットに取り組む「ダイエット手帳」、手帳を簡易家計簿として使う「貯蓄手帳」等々、具体的なアイディアが多数登場しています。

 中でも大注目は「婚活手帳」。スケジュール欄には、合コンや自分磨き等のイベントを「シンデレラ予定」として書きこみ、フリーページには「シンデレラマップ」と呼ばれる理想の未来図を作成するそう。働く女性の味方「日経ウーマン」が、よりによって、不幸に耐えながらじっと王子様の登場を待つシンデレラに自己投影を図るなんて……と思いきや、そこは何をするにも全力投球の「日経ウーマン」、ただぼんやりかぼちゃの馬車を待っているわけではありません。

 とにかくこの「シンデレラマップ」というものが徹底しています。「まず真ん中に自分の笑顔の写真を貼り」、そこに「世界一おいしい朝食をつくる○○のシンデレラマップ」などと、自分のキャッチフレーズを書きこむんだとか。この時点で、自分大好き力はすでにエベレスト級! 「そろそろ男遊びも終わりにしたい○○のシンデレラマップ」とか「世界一部屋が汚いけど、結婚したらきっと掃除も頑張れる気がする○○のシンデレラマップ」とか書いちゃうような自虐キャラは打ち捨てないと、婚活の成功はないんですね。

 さらに、理想の結婚式や結婚生活をイメージするための切り抜きと、かなえたい日にち、かなった時の感想を想像して入れるそうですが、それ、想像の域を超えて「妄執」なのでは……。自分大好きパワーと妄執が溢れる「婚活手帳」、お目当ての相手に中身を見られた瞬間に結婚の可能性が閉ざされること請け合いです! 

■平常運転の「転職バイブル」と「マネー計画」

 続いて、キャリアと貯蓄を信条に掲げる「日経ウーマン」らしさ全開の「長~く働くための転職バイブル」「おひとりさまのマネー計画」という2つの企画を見ていきましょう。もちろんどちらとも、いつも通り「一生(最低限定年までは)働く」という考え方が大前提になっています。

 「長~く働くための転職バイブル」では、「転職を考えていない」読者に対しても、ご親切に「転職市場でモテ人材になるために今からできること」として、英語習得の必要性を説いてくるおせっかいぶり。不況の波を見据え、いつか来る老後に備えて「一生働く」ために、「異性モテは気にしなくとも、転職市場ではモテる人材たれ」というウーマンイズムを強く感じました。続く企画「おひとりさまのマネー計画」でも、同じく老後に備えて、「経済的自立」、「精神的自立」、「生活力(家事やマネー管理)の自立」の3つの自立を説いています。

 しかし平常運転すぎるこれらの企画を見て、いつものように“おひとりさま”の覚悟を決め、一生働く決意を新たにした気高き読者たちを混乱に陥れる罠が、この後に用意されているのです……。

■おひとりさま予備軍、絶句!

 散々、“おひとりさま”気分を高められた後に登場する、「婦人科系トラブル、これで解消!」という特集。そうよね、一生ひとりで働きながら生きていくためには何よりも身体が資本ですもの……と思いながらページをめくると、筆者は衝撃を受けました。

 基礎体温の付け方レクチャー、女の病気チェックリスト、骨盤ゆがみ取り体操等の企画は、目新しさはないにしても、その必要性は充分理解できたのですが、問題なのは、「いつか産みたいなら知っておきたい“妊娠率”」というページ。妊娠は「20~30代が適齢期」で、それを過ぎると不妊治療をしてもなかなか産めないと読者を脅してくるのです。

 いえ、あの、「今」が妊娠適齢期なことくらい、読者だって充分にわかっているんですよ。わかっているけど産んでいないんだから、個々に理由があるわけです。だいたい、ついさっきまでは読者たちを「“おひとりさま”に備えて、働いて貯蓄しよう!」と鼓舞してきたのに、なんという変わり身の早さ。

 さらに、『妊活バイブル 晩婚・少子化時代に生きる女のライフプランニング』(講談社)著者の白河桃子氏のありがたいコラムでは、日本社会が若いうちに子どもを持ちにくい理由を列挙した上で、「『結婚しないと産めない』とみんなが言うから『婚活』を先にしたけれど、もしかしたら、『妊娠』という期限の定まったものを先に考えたほうが、逆算しやすいのではないか」という斬新な考え方が提示されています。

 しかし、結婚も妊娠も、異性のパートナーがいなければ「不可能」であることは同じ。散々「異性に頼らずとも1人で生きていけるようになりなさい」と言い続けた「日経ウーマン」に、「今を逃したら妊娠できないかもよ」なんて言われたら、読者はどうしたらいいのでしょうか。手帳のフリースペースにベビー服の写真でも貼って、前述の「婚活手帳」ならぬ「妊活手帳」を作ってみたところで、問題は何も解決しなそうですが。

 「婦人科系トラブル」特集だから、「妊娠」を年齢や身体機能の点からのみ捉えているのは仕方ないのかもしれません。しかし、常日頃、恋愛もセックスも結婚ももちろん出産育児も話題にせず、「婚活手帳」に妄想を書き連ねているだけのオクテ雑誌なのに、「産めなくてもいいの?」と妊娠についてだけ不安感だけ煽ってくるのは、やはり不自然なのではないでしょうか。厳しい現実を、読者にこれでもかと突きつけながらも、社会の荒波を1人で渡っていくための術(貯蓄やスキル)を提示してくれるのが「日経ウーマン」の魅力なんだから、どうせ妊娠を取り上げるのなら、「異性なんて関係ない! 働く独身女性だって妊娠したい時にするべき! 大変だけどね!」というポジティブなメッセージを込めて、アメリカの精子バンクの紹介や、働くシングルマザーのリアルな体験談まで用意してほしかったです。

 いつか来るかもしれない「もしも」に常に備えている「日経ウーマン」ですが、今回は読んでいて「もしかしたら一生1人かもしれない」と「もしかしたら子どもを産む(産めない)かもしれない」からなるダブルスタンダードに、すっかり引き裂かれてしまいました。

 そんな摩耗された心を癒すために、付録の「大人かわいいイラスト練習帳」でも見て和もうかと思ったら、かつて同社から出版された『美文字練習帳』と同様、線や図形の描き方から練習させるくそまじめっぷり。美文字のためならまだわかるけど、イラスト描きまでそんなにがんばらなきゃいけないの!? だいたい、図形の丸を組み合わせて描けるからって、誰が仕事の伝達メモにいもむしのイラストとか描くのよ!? そんな暇あったら仕事するわ!! ……やはり、「日経ウーマン」推奨の目標達成手帳には、「がんばらない」「諦める」という文字はないようです。
(早乙女ぐりこ)

シンデレラマップ、パンパンになってそう

しぃちゃん



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