[女性誌速攻レビュー]「LEE」3月号

「LEE」の「家計のやりくり実録ルポ」が高収入で役に立たない!

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「LEE」3月号(集英社)

 今月号の「LEE」、大特集は「私たちが『絶対デニム派!』のワケ」というファッションページ。めくってもめくってもデニムデニムデニム。冒頭の方こそ辺見えみりが登場してキレイ目デニムを紹介していましたが、石ちゃんみたいなサスペンダーパンツに、若かりし野口五郎みたいなガウチョパンツなどが出てくるもんだから、読んでいるうちに睡魔に襲われ、アメリカ開拓時代の夢まで見てしまいましたよ(実話!)。ファッションページはスルーさせていただきますので、ご興味のある方は書店までお願いします。

<トピック>
◎私たちが「絶対デニム派!」のワケ
◎突撃!隣の家のお財布事情
◎「ふたり目」、欲しいですか?

■働く楽しみを奪わないであげて

 まず、今月号で注目したいのは「突撃!隣の家のお財布事情」。読者アンケートの結果は、それほど驚くような結果は出ていなかったので、サクサクご紹介します。大前提の回答者データを確認しておきますと、平均年齢35.8歳で、59%が主婦とのこと。家計を握っているのは「妻」が63%、「夫」が25%、別々派9%。「夫のみお小遣い制」が58%で、その額は「1~3万円」が44%、「3~5万円」が38%と大多数の中、20万円ものお小遣いをもっていく旦那さん(後述)も! へそくりは平均96.8万円、貯蓄は1カ月に5万円未満の人が58%と圧倒的です。なんかあったとき、へそくりと貯蓄でどうにか切り抜けられるぐらいの金額はありそうですね。

 しかーし! アンケートなんてお茶濁しで満足する「LEE」読者・女性誌レビュー読者ではございませぬぞ。もくじからワクワクしていた「家計のやりくり実録ルポ」を舐めまわすように見てみましょう……といった舌の根も乾かぬうちにガックリ。登場した2家族、ともに総収入が62万円、51万円と家計がギスギスしてないんですよ!! 読者アンケートでも「家計の1カ月の総額」は、「20万~30万円未満」が33%、「30万~40万円未満」が31%、「50万円以上」は12%しかいないというのに、読者を無視した誌面作り! 62万円と51万円の家計を見せられたところで、30万円のやりくりでヒイヒイ言ってる読者からしたら、鼻そうじタイムもいいとこですよ。28万円の家計を見たところでリアルすぎるし、メガネを上げ下げしながら荻原博子センセーが出てきちゃうから?

 総収入51万円のS家は妻が専業主婦なので、夫の稼ぎ一本。3歳の息子とともに都内で賃貸マンション暮らしなので、家賃が13万4,000円、食費が8万5,000円と高いものの、夫のお小遣いは1万5,000円、妻3万円で、総支出は39万9,000円。残りの約10万円は貯蓄しているそう。夫は「小遣いが少ない」とボヤき、妻は「働いて自由に買い物したいが、子育てで無理」「夫にお金を渡すとすぐに使いきるのが心配」とまったく噛み合っていない様子。

 総収入62万円のT家は、40万円稼ぐ夫と22万稼ぐ妻の二人暮らし。夫は8万円の家賃、1万円の駐車場代、通信費・携帯代の2万円の計11万円を支払い、8万5,000円は貯蓄、残りの20万円はお小遣いですってよ、奥さん!! 一方妻は、食費3万5,000円など計8万5,000の支出と、8万5,000円の貯蓄を引いた、5万円が1カ月のお小遣い。夫は「妻にマネーの知識がなく財布をまかせられない」と言ってますが、知識があっても他人に財布を預けないタイプでしょうね。奥さんとしては「夫より収入が少ないが貯蓄額が同じで厳しい」と、共稼ぎ夫婦における「平等」の難しさを露呈しています。

 両家のパターン、そして読者アンケートを見ても、みなさん必死に「貯蓄」に勤しんでおられます。不景気で先行き不透明な時代、家族を思ったら多少の備えがあったほうが安心。ただ、何でもかんでも価格比較サイトで値段をギリギリまで削り取ったり、過度の貯蓄が家計を圧迫して「貧乏的な暮らし」を選ぶことが幸せなのでしょうか? 男性欄のコメント「服もめったに買わないし、旅行なんて夢のまた夢。自分だけお金を使うわけにはいかないので合わせているが、好きなものも買えず、飲みにも行けない生活には正直飽きあき。子供が成長するまでは仕方ないと思いつつ、働きがいがないと思ってしまう」という意見を聞くにつけても、「人生=貯蓄」はちょっとさみし過ぎるような気がします。「損」と「貧乏」を毛嫌いする風潮が、日本人の余裕のなさを表しているような。ま、「LEE」の家計企画でそこまで想いを馳せなくていいんですけどね!

■何人欲しいか、勝手にさせてくれ!

 続いては「『ふたり目』、欲しいですか?」を見てみましょう。現代の女性にとっての大テーマ「子どもを産むか産まないか」を見事くぐり抜け、出産を終えたママに振りかかる「ふたり目」問題。女は悩まない時期というのはないのですね。自由度の高い職業の読者が多く、平均年齢27歳(媒体資料より)の「nina’s」(祥伝社)、ギャルママ対象の「I LOVE mama」(インフォレスト)にこの手の問題提起が見当たらないのは、「LEE」読者特有の「高齢出産」と「普通の会社員、主婦」という問題があるから。「ふたり目」に躊躇する理由の多くは、仕事・経済的問題と不妊。ほかに「ひとりでもいいのに周囲から『一人っ子はかわいそう』と言われる」、「一人を育てるだけで精いっぱい」など。それら、一つひとつのケースについて、専門家の方が真摯なアドバイスを送っているので、「ふたり目」問題に悩む方はぜひ読んでみてください。

 先ほども少し触れましたが、実はこの手の問題は子育て雑誌には意外と取り上げられません。子育ては基本的に身ごもったばかり、産み終わったばかりの人に向けられて作られているので、「幸せオーラ」を過剰に演出したり、「ママじゃなく”ワタシ”」という志向を全面的に打ち出すものが多い。高齢出産や不妊という、現代において悩む人が多い問題を定期的に取り上げてくれる雑誌が増えることを願ってやみません。

 というわけで、今月号はちょっと考えさせられる読み物ページが多かった「LEE」。一つ抜きどころ(やらしい意味じゃないですよ!)として注目してほしいのは、別冊付録「収納センスを磨く本」。一年中女性誌の収納に困っている筆者は飛び付いたのですが、残念。半分以上は部屋自体をリノベーションした事例で、賃貸住まいにはなんら役に立ちませんでしたよ。小技は「衣装ケースを統一する、中を仕切る」「ラックを活用する」など、「やってますけど、片付かないんです!!」と逆ギレしそうになる既視感アリアリのテクニックでした。今月号はリノベーションするために、家計を見直せという「LEE」のメッセージなのでしょうか。
(小島かほり)

「LEE」

荻原センセーはすぐ専業主婦に「働け!」って言うからね~

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