[官能小説レビュー]

恋なのか業なのか、消極的な男を追いかける女を描いた「18歳24歳30歳」

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■今回の官能小説
南綾子『夜を駆けるバージン』(光文社)収録作品
「18歳24歳30歳」

 厄介なことに、女という生き物は、男が感じている以上に執念深い生き物で、また、男が感じている以上に身勝手な生き物でもある。例えば、多少色っぽい関係になった男女間で、男が多少引いてしまうと、女は尻に火が点いたように襲いにかかる。それはたぶん、女の性なのだろう。女として産まれたからには、食われてナンボ。もし腰が引けてしまうような男と出会ったら、その腰を押し付けられるまで追っかけたくなる。それは、女のプライドを守るためだから。

 今回紹介する「18歳24歳30歳」の主人公・舞は、表題のとおり、女のターニングポイントとなる3度に渡り、「あつ君」と交わる人生を送っている。

 まずは、18歳の舞。10歳年上で、頭も良くて運動もできた幼なじみの「あつ君」。舞がひとり留守番をしているとき、家族にも信頼されているあつ君は、舞と共に留守を任されることになる。とはいえ、あつ君は28歳、舞は大人として心身ともに成長した18の女だ。

 まだ処女である舞は、昔から憧れていたあつ君とひとつ屋根の下で夕食をとったり、テレビを見ているうち、以前から抱いていた恋心が膨らんでしまう。慣れない様子であつ君を誘い、シャツのボタンを外して誘惑する。28歳の彼は、当然のように若い舞の体に貪りついた。「処女じゃないから」とうそをついてまで欲しがった、憧れの人の下腹部をなんとか口に含み、はじめての男の愛撫を全身で受け入れる。ところが思わぬ”来客”が訪れてしまい……。

 その後、24歳の舞はもう一度あつ君と再会する。花形部署で活躍するほどに成長した、大人の舞は、またしてもあつ君を誘う。ラブホテルに連れ込み、6年前の続きに励むふたり。昔、一番感じた部分を彼はちゃんと覚えてくれている。「今まで何人としてきたんだよ」、あつ君の問いかけに言葉を濁しながら、舞は18の自分に戻って彼の愛撫に体を預けてしまう。実は、舞は未だに処女だった。

 「あたし、まだ、一度もしたことないの」。ずしりと重い舞の告白を受け、あつ君はへなへなと精力を失ってしまう。

 そして舞は、30歳になった。社会人としても地位を確立し、優しく穏やかなパートナーを得て、明後日、結婚する。誰からも祝福されて、順風満帆な門出を迎える。だからこそ舞は、18歳の自分に決着をつけるべく、あつ君が講師として働いている予備校へ向かった。そこに、明るい結末がないことを知っていても……。

 据え膳食わぬは男の恥。けれどそれは、もしかすると「据え膳になっても食われないのは、女の恥」なのかもしれない。たとえ情けない結末が見えていようと、一度据え膳となった女は、食われるまで追い続ける。そんな女の執念が感じられる作品だ。



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