[女性誌速攻レビュー]「MORE」3月号

名言や向井理を欲する、人生の中間管理職、女30代雑誌「MORE」

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『MORE』(集英社)2011年3月号

 今月の「MORE」(集英社)には特別付録として「私、リニューアル!本気のヘアチェン100」がついています。「MORE」のヘア特集は、素人でもマネしやすいアレンジが満載で非常に人気が高いとのこと。付録の表紙を飾っているのは、タレントの優香。例えばこういう場合、本誌の方にひっそりとでもインタビューがあるとか、せめて付録中に優香だけのページを作るとかするものだと思っていましたが、優香が登場するのは付録の表紙のみ。三十路優香の立ち位置については、一度真剣に考えなければと(勝手に)思っていた矢先。今後の方向性が一向に推し量れない優香というタレントの存在意義を、まさかこんな形で再確認させられるとは。女の憧れをビジュアル化するのが女性誌なら、女が漠然と抱く違和感を白日の下に晒すのも女性誌。その中でも「MORE」は、恐ろしくその手の感覚に鋭い雑誌なのです。

<トピックス>
◎痛くない春靴&使える春バッグ
◎もし向井理くんが彼だったら・・・?
◎突き進め!楽しいお仕事ガールへの道 and more

■向井理は理想の彼氏か

 『ゲゲゲの女房』以来、テレビに雑誌に引っ張りだこの向井理。映画『GANTZ』の宣伝で登場の二宮和也×松山ケンイチを差し置き巻頭インタビュー「うっとりCLOSE-UP 向井理のON&OFF」を飾っています。先月号の問題企画「ツクメンまめ男くん」でも理想の彼として名前が上がっていた向井理。スタイルのいい男前さんでありながら、それをグイグイ前に出さず、垣間見えるは知性……。「自称:違いの分かる」オーバー30の女子たちが喰いつかないハズはありません。インタビューでも、「僕、夢や理想というぼんやりしたものは好きじゃないんですよ。あるのは”目標”のみ」と”デキる男”を匂わせつつも「家での僕はかなりダメな感じです(笑)」と母性本能をくすぐります。そしてこれまたアッパレなほど写真もベタ。スーツでかっちり決めている「ON」の向井理に、部屋着風なスタイルで寝ぐせヘアの「OFF」な向井理。「素顔は28歳の”普通の男”。面倒くさがりだし、だらしない。期待するとガッカリしますよ(笑)」という言葉に、何人の女子たちが「期待キボンヌ~」となるのでしょう。「MORE」の向井理のイジり方が、「童顔なのに巨乳」を求める男性くらい予定調和なので、ついつい10年前の2ちゃんねらーになってしまいました。

 インタビューにある「もし、向井くんが私の彼だったら…?」というキャッチを、サイ女的視点で考察しますと、向井理クンのようなタイプは表情変えずに女をパっと捨てそう(あくまでイメージ)。本人は「自信なんてまだ持てない。だからこそ、しっかりやらなきゃという気持ちが大きいんです」と言ってますが、その裏に見え隠れするのは確固たる自信以外の何者でもないような。キムタク兄さんのような、人間らしい刹那を感じないのです。実際に向井クンを彼に持った女子に聞いてみたいですね。

 偶然か必然か今月の表紙&インタビューは北川景子。オンオフ切り替え上手な向井理に対し、北川景子は「仕事してる時、家にいる時、友達と会ってる時…。どんな時もだいたいこんな感じ」とあっけらかん。化かし合いが上手そうなお二人に、芸能界の業を感じずにはいられない誌上共演でございました。

■成功者の助言、夏の日の夢の如し。

 ダルビッシュ紗栄子の「セルフヘアアレンジ劇場」。「ヘアを可愛くすれば、輝いて見えますよ!」という言葉に、「ヘアだけじゃどうにもならないことを一番よく分かってるのは自分だろうに」と邪推を働かせたり、アレンジのポイントについて「最終的な着地点をしっかりイメージするのがコツ。でないと、途中で迷子になってしまうんですね」というアドバイスに「最終的な着地点……24億」と下衆な勘ぐりをしてみたりしながらスルーします。

 夫とは世界で一番信用ならない人物。信じられるのは、かわいい子どもと仕事だけ――紗栄子がそんなセリフを言ったか言わずか(言ってません)、今月号の読み物ページは厳しい社会を生き抜く最終手段、「50万人リアルリポート 突き進め!楽しい『お仕事ガール』への道」です。「彼より、友達より一緒に過ごす時間が長い存在、それがお仕事」。

 まずはいつものどんよりアンケートから。今の仕事は楽しいですか?という質問に、半数以上が「楽しくない」。理由としては「がんばっても給料は上がらないし、評価もない」「そもそも今の仕事内容に興味がない」など。仕事に「夢」はありますか?には58%がNO。仕事を「やめたい」と思ったことはありますか? という質問に85%が「ある」。

 そこで登場するのが「20代で夢をかなえた!! 憧れワーキングガールの仕事を楽しくするルール」です。キリンフリー開発者、H&Mのプレス、スナイデルのデザイナーなど、若くしてやりたい仕事を掴んだお仕事ガールが成功の秘訣を語っています。が、仕事に夢を持てない人が読むとますます凹みそうな内容なのでお気をつけください。「朝、オフィスの扉を開く瞬間、小さなミスやトラブルが原因で前日に生まれたわだかまりの気持ちをリセット!」が出来ないから悩んでるんですよね~。そのモヤモヤに追い打ちをかけるように、キャリアカウンセラーとか佐藤可士和の嫁とか東レ経営研究所の特別顧問の方とか「その道のプロ」とされている方が、仕事の悩みにお答えしますのコーナーが。「目の前の仕事をしっかりやること」「『部下力』を身につけてかわいがられる部下に」「どんな仕事についても業務の7割はルーティーン」……。成功者の助言って、脳内をグルっと華麗に舞った後、跡かたも無く消えてしまうのはどうしてでしょう。「ビューっと来て、バシンと打つ」という長嶋茂雄のバッティングアドバイスに似ております。

 そして企画の最後を飾るのは、「MORE」の大好きな名言オチ。「きみの立っている場所を深く掘り下げてみよ。泉はその足下にある(『超訳 ニーチェの言葉』)」「『でも』『だって』『どうせ』を封印しよう。それだけでも『できるね』って思われる(『働く女が幸せになるための60の約束』)」などをデスクにペタリと貼りつけて、理不尽な上司とゆとり世代の後輩に挟まれた今日を生きていくMORE娘たち。「お嫁さんになりたい」と目を輝かして言える程若くはなく、「仕事で生きていく」と決断できる程キャリアも自信もない。女30代、人生の中間管理職。そのモヤモヤが「ツクメンまめ男くん」「上手ちゃん」なる幻想を生み出し、深そうな名言に心奪われていくのかもしれません。今後のMORE娘の動向と、優香の行く末にはどうぞご注目くださいませ。
(西澤千央)

『MORE (モア) 2011年 03月号』

北川さんが必死に祈り過ぎ

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