[女性誌速攻レビュー]「美STORY」2月号

「腸美魔女」「大自然美魔女」を生み出す、「美STORY」と”家庭”の二重構造

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「美STORY」2011年2月号(光文社)

 今月号の「美STORY」の表紙は宮沢りえです。素材の良さと、カメラマン(レスリー・キー)の腕が噛みあった巻頭グラビアですので、お見逃しなく。婚約騒動から約20年、りえも”ママ”という武器を身に付け、とうとう中年女性誌に登場かと感慨も深くなりますが、見渡せば”ママでもキレイ”ゾーンはライバルがいっぱい。永作博美、篠原涼子と粒ぞろいの中で、今後宮沢りえがどの雑誌の表紙を選ぶのか(オシャレ系か、実用系か)が気になるところ。今月号、一番爽やかなのは表紙ですので、中身で胸やけしたら、表紙に戻ってくださいね。それでは、中身を見てみましょう。

<トピック>
◎渡辺淳一さん×村上由佳さんの、美しき40代へのメッセージ
◎第1回国民的”美魔女”コンテスト 初代グランプリ決定!!
◎40代のお財布輝け! B1コスメグランプリ

■新スターが誕生

 渡辺淳一センセーと村山由佳センセーの濃厚対談が巻頭にありますので、ちょいと覗いてみましょう。「美しき40代へのメッセージ」ということで、中年女性を気持ち良くさせる言葉が並びます。

渡辺 僕は婚外恋愛を肯定しているわけじゃないけど、好きな人を純粋に追いかけることは悪いことではない、大切なことだと思っているんだよ。(略)例えば、僕が村山さんを口説くときに、出身大学とか年収を調べたりしないよね。でも結婚となると、相手の周りをいろいろ調べるでしょう。ここに打算が入る。不倫は本人しか見ないよ。その意味で不倫の方が純愛度が高いんだよ。
村上 世間では無責任と言う人がいるかもしれないけど。
渡辺 言いたい人には言わせておけばいい。それだけ貧しくなるだけだから。

 なるほど~、そういった意見があるのか! オンナとして未熟な筆者には勉強になります。ただ、お二人の胸を借りるつもりで意見を申し上げるとしたら、「結局『不倫をしている私たち』に酔って、結婚という”障害”を楽しんでることに、世の人たちは怒っているんじゃないでしょうか。そこを無責任だと言っているのではないでしょうか」。そして、それを安易に実行しそうな読者を持つ、「美STORY」で語ることが危険。

 しかし、今回の対談、村山センセーが確実に渡辺センセーを喰っちゃってます。

「今の夫と暮らし始めて2年目にタトゥーを入れました。右胸、くるぶし、内腿に入れてます。(略)優等生ぶる自分を壊したくなって、我慢してきたことの中でいちばんばかばかしいことを、と」
「私は性的な罪悪感が人一倍強いくせに、性欲も人一倍強くて、その二律背反に苦しい思いをしていました」
「『アダルト・エデュケーション』の中に『太ったからお前を抱けなくなった』とショックな一言を言われるくだりがあるのですが、実は私の実体験」

 と、まあいろんなことをカミングアウト。常識に縛られていた女性が、どんどん解放されていく感じ……「美STORY」をはじめとする中年女性誌が好きそう。今後、文化人枠で村山センセーが活躍していく姿が簡単に思い浮かびます。

■美魔女を生み出す土壌

 先月号のレビューでご案内の通り、今月号の目玉は”美魔女”コンテストの結果発表です。と言っても、まったくの素人がずらりと並んでいるだけで、読者的にはどこを見て楽しめばいいのかちょっと分かりかねます。が、筆者がおススメするのは、2つ。1つは、「グランプリまでの全軌跡!!」という写真が散らされたページにある、「やっぱり家族が支えになりました」の一コマ。ここに写っている美魔女の夫が、”いかにも”なんですよ! 石田純一的なファッションだったり、ロマンスグレーだったり、年齢不明のオシャレボーイだったり……。美魔女って一人でなるものじゃなく、家族という土壌が生み出すものだと確信しました。まぁ、”美魔女になろう”って女性を妻にした時点で、夫のパーソナリティーも分かるもんですが、あまりにもイメージ通りでビックリです。

 もう1つは、コンテスト出場者につけられたキャッチコピーです。以前からつけられていたのですが、改めて見てみると泣ける~。「おっぱい美魔女」「フラメンコ美魔女」「黒髪美魔女」ならまだしも、「腸美魔女」「名古屋でら美魔女」「少女漫画美魔女」「大自然美魔女」と言われると何がなんやら。キャッチをつける編集さんの御苦労もしのばれますが、このご時世、素人といえども個性を持っていないと他人からひどいネーミングを付けられると恐怖を感じました。一億総キャラ時代ってことでしょうかね。

■「I LOVE mama」と変わらぬ価値観

 美魔女たちの思いのほか下手っぴな書き初めページをすっ飛ばして、年末らしい企画「B1コスメグランプリ」をご紹介します。ちなみに「美STORY」によると、”B1コスメ”のBは、「ビューティフルのB、ブラボーのB、そして美STORYのB」です。真面目に解説するとこちらが恥ずかしくなるので、スルーしますよ~。岡本夏生さん、「小悪魔Ageha」(インフォレスト)の中條寿子編集長などが審査員を務める中、栄えあるグランプリは「コージー スプリングハートアイラッシュ06」です。ズバリ、つけまつ毛です。せめてマスカラなら何も言わなかったんですが、つけまとは何も言えますまい。想像してください……あなたが高校生で、母親(40代)が家でつけまをしていたら……。本当にこれを良しとしていいのか、我々傍観者の姿勢が問われるような、恐ろしい企画でした。

 濃厚な割にはパンチが弱かった今月号。美魔女コンテストに総動員で、ほかの記事から「美STORY」臭が香ってこなかったという印象です。雑誌に元気がないと、レビューもどうしてもトーンダウンしてしまうもの。来年も、ぶっちぎりにクレイジーな「美STORY」を期待してますよ!
(小島かほり)

「美STORY」

りえママは元気かな~?

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