現在の農業ブームに農業専門誌編集者が苦言(前編)

農ギャルに農マダム、”おしゃれ農業”って本当にできるの?

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ファッション誌からカルチャー誌、経済誌までが一様に
農業を取り上げる。

 「キツイ」「ダサイ」「儲からない」と若者たちの中で”就きたくない職業”の代表格でもあった農業……のハズが、なぜか今年に入って事態は一変。急にテレビや雑誌などのメディアが「農業は儲かる」「おしゃれだ」と取り上げ、そのメリットを連日連夜のごとく大プッシュするようになった。

 その影響はエコやロハス的なライフスタイルを夢見る女たちにも飛び火し、最近ではベランダの家庭菜園はもちろん、実際に畑を借りて農業を始める人も急増しているのだとか。また、農業はファッション業界でも注目を浴びていて、「美人百花」(角川春樹事務所)では「美人百姓プロジェクト」を行っていたり、「STORY」(光文社)ではカリスマ主婦・清原亜希氏に1日田植え作業をさせるという特集を組んだりしている。

 ”かっこ悪い”ものが、一夜にして”おしゃれ”になる――。そんなイメージの大逆転劇がなぜ起こったのか。その背景について、農業専門誌の編集者A氏に話を伺った。

―― “おしゃれ農業”というのは、今までの農業の状況から考えると、とても不思議な感じがしますね。

A氏 ええ、私も少し驚いています(苦笑)。というのも、それまでの農業というのは「若い担い手がいない」「元気がない」というマイナスイメージが積み重なっている状態でしたからね。しかし、昨年に起こった世界的な食糧価格の高騰やサブプライム問題、あるいは国内の”派遣切り”の影響もあって、職業としての農業に対する関心が高まっていきました。そして、今年の初めぐらいからでしょうか、「実は農業は金になる仕事なんだ」「かっこいい仕事なんだ」という、これまでとは違う、農業に対する見方が出てきました。中でも決定的だったのは、今年の2月に「BRUTUS」(マガジンハウス)が大々的な農業特集を組んだこと、それが”おしゃれ農業”ブームに火をつけました。誌面上にクリエーターの佐藤可士和氏を中心に様々な”おしゃれ著名人”を登場にさせ、農業のイメージを根本的に変える、国がらみのタイアップ記事を展開したんですね。

――国がらみのタイアップというのは?

A氏 少し専門的な話になるんですが、農水省が、国内の食料自給率増加の必要を訴える広報予算(平成20年度17億円)をひねり出したんですよ。そこにある大手代理店が金の臭いをかぎつけたか、それとも事前にそういう運動をしようと目論んだかは定かではありませんが、「食料自給率アップの運動をしよう」と、メディアを使った大々的なキャンペーン「FOOD ACTION NIPPON」を提案し、またそのキャンペーン事務局も大手代理店内にあったりします。それで、キャンペーンの中のひとつにあの「BRUTUS」の農業特集記事がありました。ここには3,000万円もの予算が広報費として使われていたようです。

――雑誌以外のメディアでも、例えば芸能プロダクションのアミューズは農業部門を立ち上げて農業番組『畑のうた』(テレビ東京系)を制作していますよね。

A氏 もちろんこれにも農水省と某広告代理店が絡んでいます。そもそもアミューズ側は、会社の創立30周年を記念して企画書を練ったようなんですよ。その際、農業をキーワードにするのはどうかという話が出ていたそうです。そこに農水省と代理店が急接近して、現在の番組ができたみたいなんですね。事実、アミューズ所属の女優・上野樹里は同番組のナレーターを務めているとともに、食料自給率アップキャンペーンのCMキャラクターになっています。あまりにも露骨な感じがしますよね(苦笑)。

 ちなみに、日本の食料自給率は39%となっていますが、そもそもこの数値が正確であるかどうかについて、様々な疑問が呈示されています。CM中のキャッチコピーは「おにぎり食べて食料自給率アップ!」というものですが「では、何をどのぐらい消費すると、食料自給率がどのぐらいアップするのか? そして食料自給率をアップさせることで日本国民の食生活を豊かにさせられるのか?」という問いを投げかけたとき、キャンペーン事務局も農水省も論理的に説明できるとは、私には思えないんですけどね。

(後編につづく)

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