コラム
仁科友里「女のための有名人深読み週報」

浜崎あゆみと松浦勝人氏の感覚は「90年代で止まっている」――2人のハグ写真に思うこと

2022/09/22 21:00
仁科友里(ライター)

 松浦氏と浜崎のように、仕事でも恋愛でもパートナーである場合、仕事の成功が恋愛を盛り上げるものだ。2人で取り組んだ仕事がうまくいけば、お金と地位が手に入り、「才能がある」というお墨付きを得られ、その結果、より大きな仕事や夢に挑戦できるようになる。こうした成功が、相手への思い入れを強め、恋愛の充足感を高めるのは想像に難くない。

 芸能の仕事は、売れればケタ違いの名声を得られる世界であることを踏まえると、それに付随する恋愛の盛り上がりも圧倒的だったはず。松浦氏と浜崎は、そんな稀有な経験をしたであろう若かりし90年代に、立ち止まったままな気がするのだ。

 2人は結局別れたが、別離で必要以上に痛手を負わなかったことが、90年代をよりいいものだったと思わせているのかもしれない。小室氏と華原朋美も、仕事とプライベートでパートナー関係を築いていたが、別離をきっかけに小室氏が曲の提供をやめてしまい、華原は大きな傷を負った。それが芸能界では当たり前のことなのか、私にはわからないが、松浦氏は小室氏のように薄情ではなかったようで、関係が終わっても浜崎を冷遇することはなかった。むしろ、別離はある意味、浜崎の魅力の一つである「歌詞」のネタとして、うまく昇華されたのかもしれない。

 誰しも「若い頃はよかった」と思うことはあって、変に魔が差して、若い頃の恋人に連絡を取ってしまった経験を持つ人もいるだろう。しかし、この2人の場合、なにせケタ違いの成功を収め、それに伴う恋愛の高揚を知っていそうなだけに、感覚が90年代で止まっていたとしても無理からぬことなのではないか。

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