芸能
ドラマ俳優クロニクル

嵐・二宮和也、『ハンドク!!!』から『マイファミリー』まで変わらぬ刺々しさ――見ていてイラッとする俳優としての“魅力”

2022/09/13 12:30
成馬零一

 新堂を刺したあと、ノブは逃亡。しかし、その途中でバイクに跳ね飛ばされ重体となり、最後は場末の病院で一番に看取られて絶命する。ノブは「生まれてこなければよかった」と言いながら死んでいくのだが、貧富の差に翻弄された末、まともな医療を受けられずに死んでいくその姿は、コロナ禍で医療現場の逼迫が叫ばれる2022年に見るほうが切実に響く。

 物語はその後、もう一山あるのだが、ノブが死ぬまでの展開があまりにも衝撃的で救いがなかったため、印象は薄い。二宮の凄みのある芝居が『ハンドク!!!』というドラマを食ってしまったように感じた。

 ノブ役で鮮烈な演技を見せた二宮は、その後、俳優として大きく飛躍する。03年には蜷川幸雄監督の映画『青の炎』で主演を務め、06年にはクリント・イーストウッド監督の映画『硫黄島からの手紙』に出演し、国外からも注目された。

 さらにテレビドラマでも、03年の『STAND UP!!』、08年の『流星の絆』(ともにTBS系)などで主演を務め、当時は若手俳優のホープとして活躍。00年代は、どこか影のある若者を演じさせると、二宮の右に出るものはいなかった。

 嵐の活動が多忙だったためか、10年代は連続ドラマへの出演が減少。そんな中で主演を務めた『マイファミリー』に、『ハンドク!!!』で演じたノブの片鱗がうかがえ、あの頃の“ヤバい二宮”はいまだに健在だと示してくれたのだ。

 来年、二宮は40歳になる。大人になっても丸くならず、影のある刺々しい人物を演じ続けてほしい。
(成馬零一)

最終更新:2022/09/13 12:30
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