カルチャー
絵本座談会【前編】

「炎上作家・のぶみ」「道徳、出オチ絵本」――子どもにとって“良質な絵本”とは何か?

2019/06/04 17:00
安楽由紀子

(左から)北尾知子さん、大内めぐみさん

――最近はネットのレビューサイトもあり、自分が面白いと思うかどうかよりも、他人の評価が軸になって絵本を選ぶ人もいるのではないでしょうか。

東條 SNS時代になり、自分の価値観に従うより、周りの目や情報を気にするお母さんが昔よりも増えた印象があります。「仕事もしてます、読み聞かせもしています」と、なんでもできるお母さんが立派のような価値観が広まって、苦しい。ただそういう事情だけでなく、共働き家庭が増えてお母さんが忙しくなり、効率的に時間を使うためにレビューを見るという場合もあります。

北尾 そもそも、読み手が「お母さん」という前提が違うのでは。お父さんが読んでもいいし、おじいちゃん、おばあちゃんでもいい。

神保 土日に図書館で絵本講座を開くと、結構パパが来ますよ。

東條 それは図書館に来る人だからでしょう。図書館は、「常連のため」の施設になってしまっていて、来ない人は、果たして絵本を読んでいるのかいないのかわからない。

神保 図書館に来るのは住民の2割と言われていますね。

大内 新しく出てくる絵本について、いい悪いを判断するのは難しいと感じています。忙しく、時間的にも精神的にも余裕がないお母さんが、「読み聞かせをしなければ」と本屋さんに行って、「売れてます」と平積みされている本を買ったら、実は物議を醸している本だったというのは気の毒ですよね。情報社会は難しい。

東條 のぶみさんの絵本のことですね。たびたび叩かれていますが、騒いでいるのは主に匿名の人。その実体はどこにあるのか? 属性を含め見えにくい部分もあります。

北尾 叩きたいという一派ができていますよね。じゃあ、のぶみさんの絵本が全て「悪い本」かというと、そうではないと思います。例えば、たくさん描かれた洋服の中から、子どもたちが、好きなものを選んで遊ぶという絵本『えらんで!』(KADOKAWA)。この「選んで遊ぶ」というのは、昔から絵本によくある手法なので、さほど問題ないのではないでしょうか。

神保 彼の力量に合う作品であれば否定することもない。ただ“死”や“生命”をテーマにすると掘り下げが足りず、 問題になってしまったと思います。

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