カルチャー

桐谷美玲の『ZERO』降板、妊娠や出産は“リスク”なのか?

2018/09/27 20:00

 『NEWS ZERO』(日本テレビ系)で2012年より火曜日キャスターを務めてきた桐谷美玲(28)が、9月25日の放送をもって降板した。『NEWS ZERO』は大幅な番組リニューアルを目前に控えており、10月1日以降は新体制の『news zero』として再スタート予定だ。メインキャスターには元NHKの有働由美子アナウンサー(49)が就任する。

 25日の放送に先立ってスポーツ紙の取材に応じた桐谷美玲は、「キャスターは一番好きな仕事のひとつ」であり、「今後もチャンスがあれば……。2020年東京五輪もあります」「自分も環境の変化に合わせたテーマをやっていけるかも」と答えており、彼女がキャスター業に意欲を持っていることが窺える。なお、今年7月に三浦翔平(30)との結婚を発表したばかりの桐谷美玲に、妊娠の有無を尋ねる質問もあったようだが「まったく、ないです」と否定している。

 9月13日発売の「週刊新潮」(新潮社)では、桐谷美玲はテレビ局が二の足を踏むような“あるリスク”を抱えている、と報じている。関係者たちの話によると、片手間ではなくしっかり現場に足を運び熱心にレポートするなど、キャスター業に力を入れてきた桐谷美玲に対する現場の評価は高い。しかし、『NEWS ZERO』リニューアル後にメインキャスターを務める有働由美子アナのギャラは高額で、製作費を圧縮すべく桐谷美玲は降板が決定。桐谷美玲の卒業を惜しむ声も聞こえ、別の番組のから誘いがあっても不思議ではないのだが、テレビ局側は、“あるリスク”を抱える桐谷美玲の起用を躊躇っているという。

 “あるリスク”とは、妊娠、そして出産に伴う休業の可能性を指す。三浦翔平と入籍したばかりの桐谷美玲だが、以前「30歳までに子どもを産みたい」と公言していたこともあり、「レギュラーに起用したところで、すぐに産休に入られては、困ってしまいますからね」と日テレ関係者は答えているのだ。

 起用したばかりのキャスターが産休や育休を取るとなれば、制作サイドのテレビ局は代役を立てるなどの対応が求められ、「困ってしまう」こともあるだろうが、それにしても間もなく平成も終わろうとしている時代、未だに産休は困るのだと堂々と答えてのけるとは、驚きであり残念でもある。

 もちろん、妊娠の可能性をふまえた桐谷自身が、現場が混乱しないようキャスター業に復帰するのは出産後が望ましい、と考えることもあるとは思うが、そこはあくまでも本人が選択する事柄ではないのか。

 実際、出産を控えた女性は、産休や育休で、数カ月から1年ほど職場を留守にすることになるのが通例。職場に多少なりとも影響を与え、いわゆる“迷惑”をかけることもあるかもしれず、キャスター業や女優業も例外ではないだろう。しかしながら、職場に迷惑をかけるのは困るとされたところで、妊娠・出産時期のコントロールは理想どおりにいくものではなく、ゆえに“職場にとってベストなタイミング”まで妊娠を待機するなんてことは難しい。

 妊娠・出産で職場に迷惑をかけたくないと本気で躊躇していたら、何もできないし、ワークライフバランスなんてあったものではない。結局、妊娠したら退職するか、あるいは妊娠・出産を諦めるか……突き詰めるとそういうことになる。それではこの「産みにくく育てにくく働きづらい社会」は何も変わらないだろう。

 そもそも妊娠・出産以外にも、病気や怪我、介護などで休職・離職する可能性を誰もが持っており、もはや、「休むのは迷惑で困る」「時短などではなく長時間会社で働ける人材がベスト」という常識を維持したままでは社会が立ち行かない。馬車馬のような働き方を要求されても労働者が断れる環境であったり、適切な休息をとりながら働くスタイルだったりが、当たり前になっていいはずだ。なにしろ“働き方改革”も絶賛進行中なのだから。

最終更新:2018/09/27 20:00
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