[ジャニーズ事務所とアジア戦略]

Hey!Say!JUMPがタイ公演!? 過去5回の公演中止で現地ファンに不信感

揺るぎないアイドル帝国・ジャニーズ事務所。されど、日本からアジアに目を広げるとK-POPという新たな潮流に市場を占められつつあります。ジャニーズ事務所のアジア展開の活動を、タイからレポートします。

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 3月3日(日)ひな祭りの日、タイ・バンコクでHey!Say!JUMPのファンミーティング『The First JUMP to Thailand 2013』が開催されました。タイでのジャニーズイベントは、2011年4月の山下智久のコンサート以来、約1年ぶり。

 この時の山下のコンサートチケットは、4,500バーツ(約1万3,500円)~1,500バーツ(約4,500円)で、新卒初任給が約1万バーツというタイでは非常に高価。タイには貧富の差があるため、このようなコンサートに来る人は比較的裕福な人ばかりですが、バンコク郊外のサンダードームで開催されたコンサートは、台湾やシンガポールからのファンも詰めかけ2万席がほぼ満席でした。

 ちなみに、山下と「GYM」というユニットを組んでいたタイのJr.「ゴルフ&マイク」は、現在はソロでドラマや音楽活動をしています。特にマイクは、ワイルド&セクシー(タトゥー入り)な魅力で推しており、すっかり大人の男になっています。

 もともとタイは親日の人が多く、高校から日本語の授業があったり、簡単な日本語の単語なら大抵の人が知っていたりします。背景には、日本食の浸透やAVの流通もあるのですが、真面目に日本語を学んでいる学生の動機の多くは、日本の漫画やドラマやジャニーズなんです。

■6年で5回の公演中止がファン離れに?

 しかし、タイでのジャニーズ人気はすっかり下降していると思っていました。なぜなら、現在は韓流の勢いがものすごいから。2~3年前は日本のドラマ『篤姫』、『龍馬伝』(ともにNHK)あたりがタイでも放送されていましたが、現在はおそらく1本も日本ドラマは流れていません。それに代わって、韓国ドラマの数は多く、また毎月のようにK-POPのコンサートやイベントが開催されています。エンターテインメントだけでなく、韓国コスメや韓国料理の店舗も急速に増えています。

 さらに、06年の嵐のコンサート中止(政情不安のため)、10年5 月のKAT-TUNのコンサート中止(政情不安のため)、11年3月のA.B.C-Z、Kis-My-Ft2、B.I.Shadowのパタヤ音楽祭への出演キャンセル(震災のため)と相次ぎ、11年に「Kis-My-Ft2が12年にバンコク公演を行う」と発表されたものの中止(理由不明)、12年5月にはHey!Say!JUMPのコンサートが行われるはずが、これも中止(理由不明)。と、こんな調子で、K-POPアイドルがタイのファンと触れ合って人気を上げている一方で、ことごとくジャニーズはタイのファンを見捨てるような行いをしてきたのです。

 そんな中、ようやく来てくれたのがHey!Say!JUMP。会場は、バンコクの渋谷・サイアムのショッピングセンター「サイアムパラゴン」前の広場で、BTS(高架鉄道)サイアム駅のホームからも見える、イベント会場の一等地です。そこで無料のイベントが行われるなんて、「ジャニーズは私たちを見捨ててなかった!」と、ざっと1,000人以上は集まった、待ちに待ったファンの思いが爆発しました。

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うちわも公式から手作りまでいろいろ。日本語で「今日のこと一生忘れない」という
泣かせるメッセージが……

 予定の午後5時を10分ほど過ぎたところでMCが登場。同時に割れんばかりの黄色い声が起こり、一気に辺りの温度が上昇しました。「Ultra Music Power」でメンバーが登場すると、団扇を振ったり、叫んだり、手を伸ばしてカメラや携帯で撮影するファンたち。タイでは芸能人の撮影は禁止されていません。むしろ気さくに記念撮影させてくれることもあります。ただし、山下智久のコンサートは撮影禁止でした。常にスタッフが監視し、光るものがあると係員が走っていって取りあげるような徹底した厳しさです。

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プロ並みのカメラ装備に脚立持参

 しかし今回は、屋台にあるようなプラスチックの椅子を持参してカメラを構える子や、椅子どころか脚立に望遠カメラと、プロ並みの装備の子もいました! ファンは若い女の子がほとんどですが、若い男の子も多く来ているのがタイならでは。1番前に陣取った子は、前日の夜から待っていたそうです。

 メンバーの自己紹介の後、質問タイムへ。「好きなタイ料理は?」という質問に、タイ語で「トムヤムクン」「ゲーンキアオワーン」(グリーンカレー)「トートマンクン」(さつま揚げ)などと返しますが、タイ語は声調(飴と雨が違うように、音程が違うと別の意味になる言葉が多い)が難しいので、なかなかファンに通じない様子。それがまた微笑ましいんですよね。

 そして中盤、薮宏太から重大発表がありました。「今年、ここタイでコンサートをやります!」「去年予定があったんですけど、いろいろ事情があって来れなかったんで、みんなが待っててくれた分、今年のコンサートではもっといいパワーを出していきたい」。そのまま詳しい日程や会場が発表されるかと思いきや、すぐ次の質問へ移ってしまい、ちょっと拍子抜け。「学業との両立はどうしているか」「尊敬するジャニーズの先輩は?」などと、次々と質問が続きます。

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八乙女に向けられる多数のカメラ

 さらに客席に本人たちが下りていき、観客からの質問を直接受けていきます。ここでも、「コンサートはいつですか?」という質問が出たものの、なぜか明言せず、結局この日最後まで詳細は発表されませんでした。

 その後「SUPER DELICATE」でシメ。一旦、ステージからメンバーが去ると、「アンコールー」と日本語が響きます。そしてアンコールは「Dreams come true」。ファンはみんな、日本語で完璧に歌えていました。

■17日にはKAT-TUN・田口淳之介がタイへ

 すっかり韓流に押されてしまったかと思いきや、ジャニーズはまだまだ健在。また今月から、「国際ドラマフェスティバル in TOKYO実行委員会」が、『バンビーノ』(日本テレビ系)『大奥』(フジテレビ系)などのドラマをタイで集中放送するなど、日本ドラマのプロモーション展開を行う予定なんだとか。

 漫画やアニメ以外の日本のコンテンツ(特に音楽やドラマなど)がタイ国内で低迷している状況は、数年前から指摘されていましたが、ようやく業界も本腰を入れるようです。今月17日には、同プロモーションのイベントが同所「サイアムパラゴン」で行われ、これにKAT-TUNの田口淳之介が出演するとのこと。この勢いで、ジャニーズもタイでの活動に力を入れて、再度日本ブームのリーダーとなってくれることを期待します。

 今、タイは好景気。大型ショッピングモール、高級コンドミニアムや高級ホテルの建設ラッシュに、ワインブームでワインバーも続々オープン、車も売れています。まるでバブルのような現在だからこそ、ジャニーズもガンガン売っておいた方が良いのでは? と思ってしまいます。

西野風代(にしの・かぜよ)
東京生まれ。日本で週刊誌記者、女性誌編集などを経て2006年よりタイ在住。雑誌などのライターとして、ビジネスからエンターテイメントまで幅広く取材。タイ検定3級。

一応ね、インド担当ならいるんですよ!

しぃちゃん

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