仁科友里「女のための有名人深読み週報」

飯島愛さんが作った“ギャルタレント”の道筋――テレビで彼女たちが重宝される理由

2023/11/30 21:00
仁科友里(ライター)

私たちの心のどこかを刺激する有名人たちの発言――ライター・仁科友里がその“言葉”を深掘りします。

飯島愛の画像
頭の回転の速さがずば抜けていた飯島愛さん(C)サイゾーウーマン

<今回の有名人>
「ギャルって結構、偏見で『何もできない』とか」ゆうちゃみ
『やすとも・友近のキメツケ!※あくまで個人の感想です』(関西テレビ、11月28日)

 11月22日放送の『上田と女が吠える夜」(日本テレビ系)にゲスト出演したタレント・相田翔子が、「私って引きが悪い」と思ったエピソードを披露していた。

 「高校生の時に電車のホームで、ポンポンと2回背中を叩かれたんです。で、『え?』って振り向いたら、周りにいた人がササササーって引いて行っちゃって。『え? 誰? 誰?』と思って学校に行ったら」と、ここまで話した相田は急に真顔で黙り込む。

 同番組司会のくりぃむしちゅー・上田晋也は、その沈黙を「ラジオだったら放送事故くらいの間」と表現したが、しばし黙った相田はその後、「ハトのフンが2発」とポツリ。

 つまり相田は、ポンポンと背中を叩かれたと思っていたが、実際には、それはハトにフンをかけられた感触だった……と上田が“通訳”していた。相田は「あんなにいっぱい人が待っている中で、(ハトが)私を選ぶなんて引きが悪いなと思って」と結論付けていたものの、エピソードよりも相田の素っ頓狂さに笑いを誘われた視聴者も多いのではないだろうか。

 相田のような女性は“天然”と呼ばれ、一時期テレビでは重宝がられた。ゆえに、本当は天然ではないのに、天然を装う女性タレントも多かったが、今、バラエティ番組で天然を掲げる女性タレントを見かけることはほぼないと言っていいだろう。その代わり、今のテレビに不可欠なのがギャルタレントだと思う。

 テレビによるギャルの起用というと、『噂の!東京マガジン』(TBS系→BS-TBS)が思い浮かぶ。

 同番組には「やって!TRY」というコーナーがある。番組スタッフが街行く若い女性に「この料理を作ってください」と課題を与える。その際、番組はギャル風のファッションをした若い女性に声をかけることが多かった。レシピも与えられず、魚料理の際は1匹の魚をさばくところから始めなくてはならない。ゆえに多くの女性が大失敗し、スタジオの男性陣が「嘆かわしい」と苦々しい顔をするのが定番だった。

 スタッフは番組を盛り上げるため、見た目が派手なギャルは家庭的ではない、つまり料理もできないと見て、あえてそういう人に声をかけていたように思う。確かにギャルは料理だけでなく、「何もできない」という印象を持たれがちだが、芸能界のギャルタレントを見ていると、それとはまた別の“イメージ”が広まっているのではないだろうか。

ギャルは一過性のブームではない
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