ドラマはネット視聴する時代へ?

春ドラマ“TVerお気に入り数”ランキング! 『教場0』追い抜いた1位は? 『特捜9』はワースト入り

2023/05/22 08:00
仲宗根由紀子(エンタメライター)
春ドラマ“TVerお気に入り数”ランキング! 『教場0』追い抜いた1位は? 『特捜9』はワースト入り
『あなして』で“妻だけED”夫を好演中の永山瑛太(Getty Imagesより)

 4月にスタートした春ドラマも、多くの作品が後半戦に突入。すでにお気に入りの作品を見つけてどハマりしている人や、「思ってたのと違う……」と駄作に見切りをつけた人も多いのでは?

 一方、昨今は動画配信サービス「TVer」などでネット視聴する人が増加していることから、テレビ各局は、その再生数やお気に入り登録数に一喜一憂している様子。

 そこで「サイゾーウーマン」では、「TVer」の“お気に入り数”を調査。ゴールデンプライム帯で放送中の民放連続ドラマを対象に、お気に入り登録数をランキングにして紹介したい。

※2023年5月19日午前10時時点の情報です。

奈緒『あなして』が、『教場0』追い抜きトップ!

 お気に入り数トップは、セックスレスをテーマにした奈緒主演『あなたがしてくれなくても』(フジテレビ系)で、126.7万人。今月上旬までは木村拓哉主演の月9『風間公親-教場0-』(同)が首位をキープしていたが、『教場0』の数字の伸びが鈍化したこともあり、『あなして』がこれを追い抜いた。

 同ドラマは、「漫画アクション」(双葉社)で連載中のハルノ晴氏による同名漫画が原作。ドラマ化にあたって同局のダブル不倫ドラマ『昼顔~平日午後3時の恋人たち~』(2014年7月期)のスタッフが集結したという。

 センシティブなテーマである上、際どいラブシーンやセリフも登場するため、ネット上では「リビングのテレビじゃ無理」「夫婦では絶対見られない」と家族の目を気にする視聴者が続出。こうした理由から、スマホやタブレットでこっそり見ている視聴者も多いのだろう。

 そんな『あなして』に首位を明け渡した2位の『教場0』は、お気に入り数121.6万人。ネット上では「脚本が雑」との指摘も目立つが、やはりキムタクのスター性に釘付けになる視聴者は多数おり、安定の上位に君臨している。

 また、『教場0』は、下馬評において福山雅治主演の日曜劇場『ラストマン-全盲の捜査官-』(TBS系)との視聴率争いが予想されていたが、視聴率では福山に軍配。しかし、お気に入り数では『教場0』がなぜか30万近く上回っており、フジのブランド枠である月9の強さをあらためて見せつけている。

 3位は、橋本環奈主演の恋愛ドラマ『王様に捧ぐ薬指』(TBS系)で、115.3万人。世帯平均視聴率は6~7%台(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)とイマイチながら、「ドラマはスマホで見る派」の若年層から支持を受けているようだ。

 同作に対するネットユーザーの熱量は、SNS上の書き込みの数を見ても明白で、特に羽田綾華(橋本)と新田東郷(Hey!Say!JUMP・山田涼介)が2度にわたってキスをした第3話では、「おかわりキス」という言葉がSNS上に飛び交い、視聴者を熱狂させていた。

『特捜9』『日曜の夜ぐらいは…』ワースト入りのワケ

 ランキング下位は、ワースト1位が福士蒼汰主演『弁護士ソドム』(テレビ東京系)、ワースト2位が20th Century・井ノ原快彦主演『特捜9 season6』(テレビ朝日系)、ワースト3位が清野菜名主演『日曜の夜ぐらいは…』(テレビ朝日系)で、お気に入り数はすべて30万台となっている。

 『日曜の夜ぐらいは…』は、『最後から二番目の恋』シリーズ(フジテレビ系)の岡田惠和氏が脚本を手掛けるオリジナル作品で、主人公・岸田サチ(清野)、タクシードライバー・野田翔子(岸井ゆきの)、ちくわぶ工場で働く樋口若葉(生見愛瑠)が織りなす友情物語。

 TVerでは恋愛色の強いドラマが伸びやすい傾向にあり、女性視聴者の熱量の高さがうかがえるが、同じく女性から共感を呼びそうな『日曜の夜ぐらいは…』は、なぜか伸びていない。

 ドラマが4月30日スタートと、とりわけ遅かった影響もありそうだが、ネット上では「内容が暗くてどんよりする」「今どき女子のキラキラドラマだと思ったら、正反対だった」とネガティブな声も目立ち、これがワースト入りの一因なのかもしれない。

 一方、『特捜9 season6』は、井ノ原のほかにSnow Man・向井康二も出演するジャニーズドラマで、若い女性からの関心も高そうだが、『相棒』などテレ朝の刑事ドラマシリーズは総じてTVerで弱い印象があるため、致し方なしか。

 下記のランキング一覧を見るとわかるように、TVerではフジが健闘しており、逆にテレ朝が苦戦している様子。近年のテレビ局は、若い層に絞ったコア視聴率を重視しているが、その中でもフジはネット世代である10~20代にターゲットに絞っている印象がある。

 一方、テレ朝は“伝統芸”ともいえる人気刑事ドラマシリーズをはじめ、大人向けの味わい深いドラマが多い。そうしたフジとテレ朝のウリの違いが、同ランキングにも表れたといえそうだ。

 視聴率ランキングとは一味違った見方ができる、Tverのお気に入り数ランキング。『あなして』の勢いは、どこまで続くのだろうか。

4月期ドラマ「TVerお気に入り数」ランキング(民放5局、午後8~10時台)

1位『あなたがしてくれなくても』(フジテレビ系、木曜午後10時)126.7万人
2位『風間公親-教場0-』(フジテレビ系、月曜午後9時)121.6万人
3位『王様に捧ぐ薬指』(TBS系、火曜午後10時)115.3万人
4位『ラストマン-全盲の捜査官-』(TBS系、日曜午後9時)92.8万人
5位『わたしのお嫁くん』(フジテレビ系、水曜午後10時)92.2万人
6位『unknown』(テレビ朝日系、火曜午後9時)74.1万人
7位『合理的にあり得ない』(フジテレビ系、月曜午後10時)73.0万人
8位『Dr.チョコレート』(日本テレビ系、土曜午後10時)68.8万人9位『ペンディングトレイン-8時23分、明日 君と』(TBS系、金曜午後10時)64.2万人
10位『だが、情熱はある』(日本テレビ系、日曜午後10時30分)55.6万人
11位『それってパクリじゃないですか?』(日本テレビ系、水曜午後10時)46.3万人
12位『ケイジとケンジ、時々ハンジ。』(テレビ朝日系、木曜午後9時)41.9万人
13位『日曜の夜ぐらいは…』(テレビ朝日系、日曜午後10時)39.2万人
14位『特捜9 season6』(テレビ朝日系、水曜午後9時)32.9万人
15位『弁護士ソドム』(テレビ東京系、金曜午後8時)30.4万人

※小数点第2位以下を四捨五入。


仲宗根由紀子(エンタメライター)

仲宗根由紀子(エンタメライター)

芸能誌の編集を経て、現在は国内・国外ドラマレビューを中心に執筆するライター。人気俳優のインタビュー経験多数。

最終更新:2023/05/22 08:00
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