仁科友里「女のための有名人深読み週報」

藤本美貴、人気の「ミキティ人生相談」のハズレ回――“働く一般女性”に対する想像力の欠如

2023/04/27 21:00
仁科友里(ライター)

私たちの心のどこかを刺激する有名人たちの発言――ライター・仁科友里がその“言葉”を深掘りします。

藤本美貴、人気の「ミキティ人生相談」のハズレ回――“働く一般女性”に対する想像力の欠如
新・ご意見番のミキティ(C)サイゾーウーマン

<今回の有名人>
「だって、その人は周りの信用もないし、仕事も頑張れない人」藤本美貴
YouTubeチャンネル「ハロー!ミキティ」(4月26日)

 旬の果物、イチゴ。この季節、洋菓子店にはイチゴのタルトやロールケーキなど、イチゴを使った商品が盛りだくさんに並ぶ。しかし、だからといって、イチゴの商品しか取り扱わないという店はまずないだろう。なぜなら、シュークリームやプリンなど定番があるからこそ、旬の商品の価値が出るからだ。流行も定番も連動して共生しているわけで、これは人気商売の基本法則といえるのではないだろうか。

 芸能界にも同じようなところがあるように思う。テレビ局がコンプライアンスを強化し、「人を傷つけない穏やかなタレント」が重宝されて“旬の人”になっている現在、タレントにとっては“はっきり物を言うべきこと”さえも、高いリスクを伴うのかもしれない。

 バラエテイ番組を見ていると、出演者が「言っていいのかな」と前置きして発言することは、よくある。炎上させたくない、場を変な空気にしたくないという配慮なのかもしれないが、それではタレントの個性も出ないし、結果的に番組も盛り上がらない。やはり、ズバッと物を言うキャラというのは、いつの時代も必要とされる“定番”といえるだろう。

 今の時代、人を傷つけないのはマストとして、炎上を恐れて萎縮せず、ズバッと言うことは言うので爽快感がある――そんなキャラとして頭ひとつ抜き出た感じがあるのが、元モーニング娘・藤本美貴だ。

 夫はお笑いコンビ・品川庄司の庄司智春。国民的アイドルと芸人のカップルは、結婚した2009年当時こそ、「格差婚」といわれたものだが、現代では、男性が大黒柱になるべきと考える人は減っているだろうから、時代を先んじていたカップルといえる。

 そんな藤本は、自身にも夫にも不倫などの悪いうわさがなく、夫婦円満なようだし、3人のお子さんがいることから、子育てについての経験も豊富なだけに、彼女はかなり“引き出しが多い”タレントだと思う。

 芸能界のご意見番とも呼ばれるズバッと言う系のタレントは、マツコ・デラックスや和田アキ子、美川憲一など、それなりに人生経験があり、話の引き出しの多いタレントばかり。そう考えると、藤本にもその適性はありそうだ。一方、これまでのズバッと言う系タレントは、ビジュアルもキャラも濃く、「そのほうが、説得力が増す」とも考えられてきたように思うが、今の時代は、藤本のようなアイドル出身でナチュラルなビジュアルやキャラの人物のほうが、圧がなく、若者には受け入れやすいのかもしれない。

 藤本の考え方は、いつも“ズバッと明快”といえるだろう。2月22日放送『上田と女が吠える夜』(日本テレビ系)に出演した際、オアシズ・大久保佳代子が、“気になっている男性にアプローチできず、懊悩(おうのう)している”と明かすと、「自分のものにならないなら、嫌われてもよくない? だから、どんどん押せばいいのに」と明るく答えていた。

 おそらく、大久保サンがアプローチできないのは、相手が彼女を受け入れるかどうかの確信が持てないから。大久保サンが気にしているのは、相手の気持ち、もしくは相手から自分がどう見えているかという“評価”であるのに対し、藤本が見ているのは、自分の気持ちと未来ではないか。

 藤本は、今好きな人が、自分をどう見ているかはどうやったってわからないが、自分は相手のことが好きなのは確かなのだから、どんどん進めと言っているのだろう。他人にどう評価されるかより、自分がどう感じるかを優先するのが、藤本の基本的な人生観なのかもしれない。その背景には、必ず運命の人は現れる、明るい未来が待っているという彼女のポジティブな思考があるようにも感じるのだ。こうした前向きさもまた、人に愛されるゆえんなのだろう。

自分が頑張るだけじゃどうにもならないからモヤモヤすんのよ
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