『ねほりんぱほりん』シーズン7レビュー

『ねほりんぱほりん』友情結婚なのに、妻に“容姿と料理”を求めてしまうのはナゼ?

2023/03/07 11:00
加古りえ(ライター)
『ねほりんぱほりん』友情結婚なのに、妻に“容姿と料理”を求めてしまうのはナゼ?
写真ACより

 NHK Eテレの人気番組『ねほりんぱほりん』のシーズン7が昨年10月7日よりスタートした。かわいらしいモグラの人形ねほりん(山里亮太)とぱほりん(YOU)が、ブタの人形に扮した“顔出しNG”の訳ありゲストに、聞きにくい話題を“ねほりはほり”聞き出す新感覚トークショーだ。

※本記事は『ねほりんぱほりん』シーズン7「友情結婚した人」のネタバレを含みます

『ねほりんぱほりん』友情結婚でも見た目は大事!? 日向坂46レベルが理想

 今回のテーマは「友情結婚した人」。友情結婚とは、さまざまな事情によって恋愛とはまた別の感情で結ばれる結婚のこと。ゲストには2年前に友情結婚をしたハルさんが登場した。

 ハルさんは男性として生まれ、恋愛対象は男性、好きなタイプはking&Princeの岸優太という40代。ハルさんの解釈によれば、「世間体を気にする人たちが、周りからは普通の結婚をしているというふうに見られるために友情結婚をしている人が多いかなって気がしています」とのこと。ハルさんも、両親や職場にゲイであることを隠して生活しており、「性的指向を隠したい」「両親を安心させたい」「自分の子どもを育てたい」などの理由で友情結婚を選択したそうだ。

 結婚相手となった女性との出会いは、「友情結婚を専門にしている結婚相談所」。ハルさんによると、その相談所は「入会金約10万円」「月会費約1万円」「月1回希望条件にあった人を紹介される」「成婚料は30万円」と、一般的な結婚相談所と同じようなシステム。相談所が作った冊子をもとに、「同居か別居か」「家事分担」「お金の管理方法」「子どもを希望するか」「結婚後の性的欲求への対処」など条件を細かく決め、マッチングした相手とお見合いをする流れだそうだ。

 恋愛結婚と同じく、友情結婚にも見た目は重要なポイントだそう。「最初3カ月で月1で3人くらい会ったんです。話自体は弾むんですけど、見た目がタイプじゃなかった」と振り返るハルさん。「女性に対しても“推し”みたいな感じで、かわいいなとか、そういったことは普通に感情としてはあるんですね。かわいいって思える女性と結婚できたら、それが一番理想的なのかなって考えてました」とのこと。

 確かに、相手の見た目が生理的にタイプではない場合、長い人生を同じ空間で過ごしていくのはストレスになりそう。しかし、「タイプはアイドルみたいな。今で言うと日向坂みたいな感じの子。日向坂のメンバーは(相談所には)やっぱりいなかったですよね」と語るハルさん、理想が高すぎやしないか……?

 結局、4人目に会った女性が「自分の(OKと感じる)範囲内」だったため、その方と友情結婚が成立。両親は「クソ喜んでいた」そうで、「あれだけ喜んでくれると、友情結婚してよかったなって思いました」と、自分の決断に納得している様子だった。

『ねほりんぱほりん』友情結婚、それでも女性には手の込んだ料理を求める

 ハルさんと結婚したお相手は、「性行為が苦手」「恋愛対象が女性か男性かもわからない」という女性で、事前に「お互い恋人を外に作ってもいい」と決めているという。「僕の場合は恋愛感情が男性に向かっているので、せめて形だけは“普通の結婚”っていう理想的な形にして、心の部分については、本当に自分が好きな人で補っていく。そういうことができるのが、友情結婚のメリットかなって」とハルさんは語った。

 デメリットは、「恋愛感情がないので、結構物事をシビアに考えちゃう部分」だそう。例えば、収入が妻より多いハルさんは、家事をこなす量が平等ではないのでは? と考えてしまうとか。「一緒に生活を始めてまだ3日目くらいのときに、麺に粉末スープかけただけの焼きそばみたいな、そんなのが出てきた」と具体例を挙げた。

 「結婚相談所の冊子には『一般的な料理なら作れます』って書いてあった」ことから、ハルさんの中では期待外れだった様子。「好きな気持ちがあれば、3日目でそれは出てこないと思う」「好きな人には出さないよな……と」「好きな人だったら、料理を自分から作ってあげたいって思えると思うんです」と語っていた。

 どうやらハルさんには、「麺に粉末スープをかけただけの焼きそば」は相手への愛情不足であるという考えと、「好きな人には料理を自分から作ってあげたいと思うはず」との偏見にも似た決めつけがあるよう。それゆえ、「恋愛感情は持ってほしくないけど、もっと大事にはしてほしい」という複雑な感情に悩まされているようだった。

 恋愛や結婚をめぐって、世間体というものに悩まされ続けているハルさんだからこそ……なのか、固定観念にがんじがらめになりやすいタイプにも見える。

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