ネット恋愛に潜むロマンス詐欺の注意点

2023/02/11 14:00
サイゾーウーマン編集部

 ネット恋愛をする人が世界的に増えています。そんな中、ネット恋愛の専用アプリを利用する際、偽名を使ったりVPNをダウンロードしたりしてセキュリティに細心の注意を払っても、さまざまなロマンス詐欺が横行し、ネット恋愛でのリスクは高まる傾向にあります。

 詐欺の一例として、Netflixのドキュメンタリー映画『Tinder詐欺師:恋愛は大金を生む』は有名です。この映画は、一部の女性から1000万米ドル以上をだまし取ったイスラエルの詐欺師、サイモン・レヴィエフ(本名:シモン・ハユット)の物語で、2022年のNetflixオリジナルドキュメンタリーの中で唯一、92ヶ国でトップ10チャートにランクインした作品です。サイモンは世界各地を飛び回る大富豪のダイヤモンド商の息子になりすまし、世界最大のマッチングアプリ「Tinder(ティンダー)」を利用していました。

 同作のストーリーでは主にサイモンの騙し行為や詐欺の手口に焦点が当てられていますが、その他にも2つの問題がクローズアップされています。

1. ロマンス詐欺を見破るのがいかに難しいか
(サイモンの被害者は全員、大金を失うまでその兆候に気付かなかったと語っています)

2. 騙されたお金を取り戻そうとする被害者の悲惨な状況

 バレンタインデーが近づいてきた今、ロマンス詐欺を見分ける方法や、国際ロマンス詐欺など注意すべき詐欺のタイプ、そして被害に遭った時の対処法をご紹介します。

ロマンス詐欺の手口は?

 ロマンス詐欺は、一般的に、犯罪者がマッチングアプリで偽の身分を装い、被害者に興味を持っているふりをして詐欺を仕掛けます(「キャットフィッシュ(なりすましネット恋愛)」とも呼ばれています)。愛の告白などを通じて被害者の信用を得た後、詐欺師は金銭的な援助を求めたり、被害者の親密な写真を要求して、後で被害者を脅迫するために利用します。

マッチングアプリでの詐欺の危険なサイン

 詐欺師は革新的で説得力のある手口を使うので、マッチングアプリやサイトで話している相手が愛を求めているのか、それとも単にあなたを騙そうとしているのかを見極めるのは難しいかもしれません。

 以下のスライドショーをクリックして、マッチングの相手が詐欺師であるというサインを確認してみましょう。

ロマンス詐欺が増加中

 Tinder、Bumble、Hingeといったマッチングアプリの登場により、オンラインでの出会いはますます盛んになっています。2021年には世界中で3億人以上がマッチングアプリを利用していると推定される世界的な統計も出ていますが、この傾向は今後も続くと予想されています。

 Statista(スタティスタ)によると、5100万人近い米国人がネット上のマッチングサービスに登録しており、2025年には5330万人にまで増加する見通しです。

 恋愛目的で利用するアプリの人気に関して、Business of Appsの統計では、米国ではTinderがトップに君臨し、Bumble、Plenty of Fish、Hingeが後に続いています。

 世界的にはTinderが最も人気のあるマッチングアプリとしての地位を維持しており、英国に本社を置くアプリBadooがこれに続いています。さらに、もともと女性向けアプリとして市場に出回ったBumbleと、中国に拠点のあるTantanがその後に続いています。

 Apptopiaの最新の調査によると、バレンタインデーにはマッチングアプリの需要がわずかに増加するそうですが、これは当然のことと言えるでしょう。一方、サイバーセキュリティ企業ESETが行った調査では、回答者の52%が「バレンタインデーの寂しさからなりすましネット恋愛の被害に遭いやすい」と回答しています。ロマンスを求めてマッチングサイトに登録する人が増えるとともに、詐欺師も増えているのが現状です。

 実際、米国連邦取引委員会 (FTC) が発表したロマンス詐欺に関する報告書によると、2021年だけで推定5億4700万米ドルもの金額がオンラインデートの詐欺によって失われており、前年と比べて80%も増加しています。さらに、マッチングサイトへの登録者数が増えるにつれて、この数字は急増していくと予想されます。

ロマンス詐欺の種類と注意点

 詐欺師は主に、恋愛相手や長期的な関係を求めている人につけ込みます。近年、詐欺師が増加傾向にある中、注意すべきロマンス詐欺の代表的な手口をご紹介します。

親密な行為と写真詐欺

 詐欺師はターゲットと信頼関係を築き、親密な写真やメッセージを送るように仕向けます。また、ターゲットとの親密なビデオ通話を録音する場合もあります。これは、ターゲットを脅迫して金銭を要求する目的で行われます。金銭を支払わなければ個人情報を漏らすとターゲットに脅迫するのです。

助けて詐欺

 このシナリオでは、詐欺師は愛を求める真っ当な人物になりすまします。ターゲットの信頼を得ると、緊急事態、医療処置、旅費などをでっち上げます。映画『Tinder詐欺師:恋愛は大金を生む』は、この種の詐欺の典型的な実例です。

軍人ロマンス詐欺

 詐欺師は、海外に配備された軍人になりすまします。親しくなると、旅費、食事、住居費などのお金を送金するようにターゲットを誘導します。2017年、米国男性Olayinka Ilumsa Sunmolaは、主に未亡人や離婚した女性、50歳以上の人をターゲットにした偽のマッチングプロフィールを作成したとして、27年の刑を言い渡されました。彼は、海外に駐留する米軍大佐の名前と画像を、プロフィールに使用していました。

マルウェア詐欺

 この詐欺では詐欺師が、一見すると危険のないリンクを被害者に直接送ったり、マッチングサイトのプロフィール欄に貼ったりします。このリンクをクリックすると、被害者のデバイスに悪意のあるソフトウェアが自動的にダウンロードされ、データが盗まれる可能性が生じます。

偽のマッチングサイトによる詐欺

 詐欺師の中には、本物のプラットフォームを模倣して、完全に偽のマッチングサイトやアプリを作り出す者もいます。これは、被害者を騙して個人情報や金銭情報を入力させる目的で行われます。

国際ロマンス詐欺

 外国人もしくは日本人が外国人を装って、相手に恋愛感情を抱かせて交際を持ちかけ、投資などを通じて多額のお金をだまし取る詐欺のことです。日本では女性だけでなく男性の被害も増えており、外国の犯罪組織が絡んだり日本人が詐欺行為を仲介しているケースなどもあります。

ロマンス詐欺に関する誤解トップ4

誤解その1:マッチングアプリは詐欺である

 人気のあるマッチングアプリ自体は詐欺ではありません。しかし、詐欺師となるユーザーが存在することを心得ましょう。ロマンス詐欺師は、アプリを使用してターゲットを見つけ、連絡を取り合います。また、詐欺師は、本物のマッチングサイトを模倣した偽のマッチングサイトを作成することもあります。2021年、サイバーセキュリティ企業のトレンドマイクロは、1500万を超える偽のマッチングサイトを検出しました。

 また、アプリは必ずApp StoreまたはGoogle Playストアから直接ダウンロードし、その正当性を確認するよう心がけましょう。

誤解その2:女性は詐欺に遭いやすい

 映画『Tinder詐欺師:恋愛は大金を生む』のようにメディアで取り上げられるロマンス詐欺の被害者はほとんどが女性ですが、ロマンス詐欺に引っかかる確率は男性の方が女性の2倍もあるという調査結果が報告されています。Tessian Cloud Email Securityの最近の調査では、男性の11%がロマンス詐欺に引っかかると報告したのに対し、女性は5%にとどまりました。

誤解その3:お金は取り戻せる

 『Tinder詐欺師:恋愛は大金を生む』でサイモンの被害に遭った被害者のうち、セシリー、ペルニラ、アイリーンの3人は、詐欺師に奪われたお金を取り戻そうとGoFundMeページを立ち上げ、217,000米ドルを集めました。

 しかし残念ながら、すべての被害者にお金が戻ってくるわけではありません。

 米国ではロマンス詐欺は重罪とされており、振り込め詐欺やあらゆる種類のロマンス詐欺は、20年から30年の禁固刑に処される可能性があります。FTCは、Western UnionやMoneyGramなどの企業を通じて詐欺師に送金した場合、詐欺師の特定と追跡はほぼ不可能であると述べています。

 さらに、詐欺師は偽名や偽の所在地を使うことが多く、本当の名前や居場所を突き止めるのが一層困難になっています。また、被害者は羞恥心から通報をためうケースが多く、失ったお金を取り戻すプロセスは複雑になります。

 詐欺の種類、期間、複雑さによっては(映画『Tinder詐欺師:恋愛は大金を生む』の事例にも見られるように)、ロマンス詐欺師に対して法的措置を取ることが難しい場合もあります。

 サイモンは懲役15ヶ月の判決を言い渡されたにもかかわらず、5ヶ月後に釈放されています。TheMaking of a Swindler:『Tinder詐欺師: 恋愛は大金を生む』の特別ポッドキャストによると、彼の犯罪はあまりにも膨大で複雑なため、法的に起訴することができず、サイモンは自由の身であり続けているようです。

誤解その4:詐欺師は単独で犯行を行う

 単独で活動する詐欺師もいますが、ロマンス詐欺師はプロの犯罪組織の一員として集団で活動することが多いと報告されています。Channel News Asiaは、最近の暴露記事の中で、アジアのロマンス犯罪組織が、米国やヨーロッパの被害者をターゲットにその範囲を拡大してきた手口を調査しました。

 記事では、詐欺師が被害者と関係を築き、巧妙な手口で投資商品にお金を預けさせるよう仕向ける訓練を受けていることが明らかになりました。

詐欺に遭った時の対処法

 ロマンス詐欺の被害にあっているかもしれないと思ったら、以下の手順に沿って行動してください。

1. 詐欺師が具体的に金銭を要求してきた会話のスクリーンショットを撮る(報告書を作成する際には、送金した証拠や金銭的な取引について話し合った証拠の提出が必要な場合もあります)

2. 詐欺師を報告し、ブロックする

3. クレジットカード、デビットカード、振り込み、暗号通貨による送金で詐欺師にお金を払ってしまった場合は、すぐに銀行に連絡し、取引の取り消しを申請する

4. 警察に詐欺を報告する

 ロマンス詐欺の被害者の多くは、その犯罪の感情的な性質から、心理的なトラウマや心的外傷後ストレス障害に悩まされることが多いようです。そのような場合は、身近なクリニックや自治体のサービスなどを通じて、利用できる精神的サポートを受けるようにしましょう。

【出典先】

※当記事はインフォメーションです。

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最終更新:2023/02/11 14:00
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