インタビュー

King&Prince分裂劇、なぜ“暴走ティアラ”は生まれるのか? 臨床心理士が「陰謀論に走る理由」を解説

2023/01/22 18:00
サイゾーウーマン編集部

“暴走ティアラ”は、心の傷を緩和させるために犯人捜しをしている

海外への思いが人一倍強かったという平野紫耀(写真:サイゾーウーマン)

 では、現在SNS上で物議を醸す“暴走ティアラ”が生まれる背景について、杉山氏はどう見ているのだろう。平野らは、本人たちの意思で脱退・退所をするのではなく、事務所によって辞めさせられるというのが、“暴走ティアラ”と呼ばれる人たちの主張であり、その根拠を日々SNSに投稿・拡散。その内容については、「陰謀論に走っている」と物議を醸すことも珍しくない。

「人には、感情的な判断で最初に結論を決める『皮質下回路』という脳の仕組みがあり、それに沿って証拠を集めて正当化するというプロセスを踏むものなんです。平野さんのブログを縦読みにしたら、隠されたメッセージが出てきたという話も、一部のティアラの感情的な結論ありきで、それに沿った言葉を“探して”しまったのではないでしょうか」

 最近では、『King&Prince First DOME TOUR 2022 ~Mr.~』のDVD特典映像が話題になった。ドーム公演に向けての打ち合わせ中、ホワイトボードに10周年の構想が手書きで記されているとして、一部ティアラが「メンバーはやっぱり辞めるつもりはなかった」と指摘。この結論もまた、「皮質下回路」による影響があった可能性は否めない。

 一方、“暴走ティアラ”は、ジャニーズ事務所やジュリー氏に強烈な敵意を持っているのも特徴だ。平野ら脱退・退所メンバーを冷遇したとして、事務所へ直接クレーム電話を入れたり、公正取引委員会に、独占禁止法の「優越的地位の濫用」に抵触するのではないかと調査を依頼するなど、具体的な行動に出ているという。また、キンプリと比較する形で、事務所の他グループを叩くなどの行為も見られ、ジャニーズファンの間で反感を買っているが……。

「『対象喪失』による心の痛みをそのまま受け取ると、人は耐えがたい苦しみを感じてしまいます。先ほど話に出た『パラノイア感』は、実は心の痛みを緩和するために存在しているもので、人はそれによって『誰のせいでこんなことになったのか』と犯人を捜すようになるんです。

 私の研究で恐縮なのですが、この『パラノイア感』に陥ると、人は落ち込みや疲労を感じにくくなる傾向もあるんですよ。キンプリ分裂に際し、何か行動を起こすことで希望を見いだしたい一部のティアラは、かねてからバッシングされている事務所やジュリー氏を“犯人”に仕立て、怒りの矛先を向けているのではないでしょうか」

 また杉山氏は、“暴走ティアラ”は、「キンプリも含め、悲劇のヒロインになっている」と考察し、「その悲劇に抵抗することで、やはり心の痛みを緩和しようとしているのではないかなと感じます」と加える。

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そう「人間が耐えられる痛みの許容量を超えていた」のよ
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