オンナ万引きGメン日誌

悪質な「マイカゴ万引き」発生! めちゃくちゃな言い分の18歳常習犯に、冷たい手錠がかかった瞬間

2023/01/21 16:00
澄江(保安員)

ピンクのマイカゴに次々と商品を入れていく若い男

 着ている黒のダウンジャケットには、大きなアルファベット文字が白抜きされており、それを目印に追尾すると、精肉売場に直行して和牛のこま切れ肉と切り落とし肉を3パックずつカゴに入れました。

 それから、いくつかのお菓子やドリンクを追加してキャンプ用品売場で足を止めた男性は、紙コップや紙プレート、割りばし、ガスボンベなどをカゴに入れると、家電コーナーに立ち寄ります。そこでスマホ用のケースやバッテリーを複数ずつカゴに入れ、フタをするような形で電動工具セットをカゴに載せた男性は、店内を大きく一周してからレジに寄ることなく店の外に出ていきました。

 動揺している様子は見せずに、風を切って堂々と歩いていますが、手にある商品の代金は支払っていません。外に出て数歩歩いたところで、カゴを持つ男の右腕を両手で抱え込んだ私は、前進を阻むべく腰を引きながら声をかけました。若い男性被疑者は、逃走する確率が高いので、そのつもりで声をかける必要があるのです。

「お店の者です。その商品、お金払わないとダメですよ」
「ああ、いま先輩が金持ってくるから、ちょっと待って」
「そんな言い訳は、通用しませんよ。話は聞きますから、とりあえず事務所まできてもらえますか」
「なんでだよ? 違うから、離せ!」

 身をよじって逃げようとするので、腕を抱きしめたまま腰を落として、その動きを封じます。

「悪いことしていないなら、逃げないで! 事務所に来て払ってもらえば、大丈夫だから」
「わかった、わかったから離せ!」
「逃げるから、それはダメ。事務所までは、このまま仲良くいきましょう」
「なんでだよ、ウゼえなあ」

 たまたま通りかかった店員さんの助けを得て、なだめながら事務所まで連れて行くと、事務作業をしていた店長が顔色を変えて言いました。

「あ! こいつ、昨日の……」
「え? お知り合いですか?」

 プリントを手に立ち上がった店長が、事務所の外に出るよう手招きするので、逃走されないよう出口を塞ぎながら小声で話をします。

「あいつ、昨日も来ていてさ。いまのと同じくらい持っていっているの。これから(顔認証)登録しようと思っていたところに連れて来られたから驚きましたよ」

万引き
澄江さん、出張お疲れさまでした
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