オンナ万引きGメン日誌

悪質な「マイカゴ万引き」発生! めちゃくちゃな言い分の18歳常習犯に、冷たい手錠がかかった瞬間

2023/01/21 16:00
澄江(保安員)
写真ACより

 こんにちは、保安員の澄江です。

 昨今、商店を苦しめる万引きは後を絶たず、その手口も巧妙になっています。なかでもセルフレジや無人販売店舗による不正行為が激増しており、その防止対策は急務といえるでしょう。

 各商店は、レジ袋有料化に伴いエコバッグやマイカゴなどを持参されるよう啓発していますが、それを逆手に悪用する犯行も減ることはありません。このような運動が始まる前は、空のレジ袋やバッグを店内に持ち込む来店者は、私たちの中でわかりやすい不審者としてとらえられていました。

 レジ袋が有料化されて以降は、それが普通のこととなり、店内の防犯に携わる者たちを右往左往させています。さらにいえば、以前の教育では、店内における帽子やマスク、サングラスの着用も同様に不審者の発するサインと教えられてきました。それも花粉やコロナ、猛暑などの影響により着用が普通のこととなり、不審者を見極める難易度は年々増しているといえるでしょう。

 今回は、前々回、前回に引き続き、地方出張のお話をしたいと思います。最終日に捕まえた万引き常習者についてです。


連日万引き犯を捕捉するGメンに、なぜかプレッシャーをかける警察

 出張最終日は、正面入口にパトカーを横付けされ、警察官が店内を巡回する状況から勤務が始まりました。ここまでの2日間、逮捕事案が続き、忙しくさせてしまったことが影響しているのでしょう。

 犯罪を未然に防止するという名目で、店内外の警戒にあたるとあいさつをいただきましたが、まだ新人らしき真新しい制服を着た若い警察官から執拗に追尾されて仕事になりません。おそらくは20歳くらいでしょうか。顔だけ見れば高校生に見えるほど幼く、どこか頼りなげな警察官が、まるで気遣いのない形で私の後をついてくるのです。

「あの、仕事にならないんですけど、何時までついてくるんですか?」
「交代の時間(午後3時半)くらいまでいるよう指示されました」
「私の後をついてきても防犯にならないでしょう。違うところを回ってくださいよ」
「いえ、保安員さんが不審者を見つけたら、すぐに声かけするよう言われていますので、ご協力お願いします」

 どうにも話にならないので、警察官を無視して事務所に戻った私は、所轄警察署にクレームを入れるよう店長に進言しました。

「経費もムダになりますし、ずっとついてこられている私が犯罪者みたいで、すごく失礼な話だとも思うんですよ」
「確かにそうですね。ちょっと連絡してみます」

 その結果、私の後をついて回ることだけはやめてもらえましたが、正面口に配備されたパトカーはそのままで、童顔の警察官は出入口付近をウロウロと警戒するようになりました。

 警察の巡回効果もあってか、前半の勤務は不審者に遭遇することなく終了したので、食事休憩をいただいてから後半の勤務に入ります。

(やっと帰ったわね)

 休憩を終えて現場に戻ると、警察官の姿は消えており、パトカーも撤収していました。気兼ねなく巡回を再開して、業務終盤を迎えたところで、黒いスポーツキャップにサングラスをかけ、さらにダウンジャケットのフードをかぶった20歳くらいに見える若い男性が目に留まります。いかにも悪そうな風体はもちろんですが、その手はピンクのマイカゴが握られており、そこに違和感を覚えたのです。

(あんな格好の若い子が、マイカゴを持って買い物に来るなんて、珍しいわね。何を買いに来たのかしら)

万引き
澄江さん、出張お疲れさまでした
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