ヘンリー王子の本心はどこに……

ヘンリー王子、自叙伝『スペア』の出版をキャンセルしていた? 立て続けな告知インタビューには元英海兵隊員も「黙るべき」と苦言

2023/01/10 21:57
堀川樹里(ライター)
ヘンリー王子、自叙伝『スペア』の出版をキャンセルしていた? 立て続けな告知インタビューの内容に元英海兵隊員も「黙るべき」と苦言の画像1
ヘンリー王子が本当に出版をキャンセルしていたら、今頃は多少風向きが変わっていたのかも(写真/Getty Imagesより)

 欧米メディアに本の内容を明かされ、発売前から世間を騒然とさせているヘンリー王子の自叙伝『スペア』。1月10日にいよいよ発売となったが、王子は「(後世のために)絶対に欠かせない史実」として自分の経験を本にしたと主張しているものの、昨年6月に開催されたエリザベス女王のプラチナジュビリーの後、本の出版キャンセルを希望していたと報じられた。

 これは英紙「タイムズ」が、アメリカの出版情報筋からの話として伝えたもの。ヘンリー王子は昨年6月に妻子を連れて女王の即位70周年祝賀行事プラチナジュビリー出席のためイギリスに一時帰国したが、アメリカに戻った2週間後、出版元のペンギン・ランダムハウスのチームに「祖母に会い、今回の出版について思い直した」と告げたとのこと。

 歴史的な一冊になると確信して極秘で制作に携わってきたチームは、キャンセルしたいと申し出た王子の言葉にひどくショックを受けたそうだ。

 その後、王子は「祖母が生きているうちは出さない」と考えを変え、女王が9月に崩御されたことで出版のゴーサインが出た形となった。

 『スペア』はピューリッツァー賞受賞作家のJ.R.モーリンガーがゴーストライターとして代作したもの。メーガン夫人との出会いから2人が王室離脱に至るまでに迫った昨年12月配信のドキュメンタリー番組『ハリー&メーガン』(Netflix)とは異なり、同書は王子の物語との位置づけで、王室批判だけでなく、王子の驚くようなプライベート情報が満載で、出版社は世界的なベストセラーになると意気込んでいる。

 この「タイムズ」の記事が出た2日後の8日、ヘンリー王子が同書のプロモーションのために受けた英ITVと米CBSのインタビューが放送された。ITVは王子が信頼している長年の友人トム・ブラッドビーが聞き手で、王子は「家族(王室)を傷つけるという意図はない」と述べた上で「王室は自分と和解する意思を見せてくれない」と不満を口にした。

「プライバシーが欲しいと言っていたあなたが、家族のプライバシーを許可も得ずに侵害していると非難する声も多いですが」というトムの言葉に、王子は「批判するのは、私の家族がメディアに情報を流していることを知らない、もしくは信じたくないと思っている人たちでしょう」と持論を展開。イメージ回復のため、タブロイドやメディアにネガティブな情報までをも流す、王室の内情を強く批判した。

 2021年3月に米CBSで放送されたオプラ・ウィンフリーによるインタビュー番組で、王室内の人種差別を批判したがという話を振られると、「私はそんなことは言っていない。メーガンも王室メンバーが人種差別主義者だなんて言っていない」と否定。「イギリスのメディアがそう言ったんだ」と断言し、けげんな顔をするトムに「人種差別と無意識の偏見の違い」について畳みかけるように説明した。

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