今年のドラマも盛り上げてくれるはず!

『エルピス』眞栄田郷敦、『silent』鈴鹿央士が大躍進――ドラマ評論家が選ぶ、2023年の注目すべき若手俳優

2023/01/02 21:00
成馬零一
『エルピス』眞栄田郷敦、『silent』鈴鹿央士が大躍進――ドラマ評論家が選ぶ、2023年の注目すべき若手俳優の画像1
湊斗派の視聴者も多かったはず(写真:サイゾーウーマン)

 2022年は学園ドラマや青春ドラマが豊作で、日本のドラマが一気に若返ったように感じた。俳優に関しても同じことが言え、若手男性俳優の注目株が多数出そろったように思う。そこで、23年に注目すべき若手俳優たちを紹介する。

『ナンバMG5』で演技の幅を広げた神尾楓珠――大人びた役も見てみたい

 その筆頭は神尾楓珠だろう。年上の女性と恋に落ちる映画好きの高校生を演じた『恋のツキ』(テレビ東京系/18年)や、自由奔放なイケメン教師を演じた『顔だけ先生』(東海テレビ・フジテレビ系/21年)などの作品で頭角を見せていたが、22年は、政治AIを用いて地方都市を統治する総理大臣に選ばれた高校生の少年・真木亜蘭を演じたSF青春ドラマ『17才の帝国』(NHK、5~6月放送)で一気に注目された。

 純真無垢な優等生の少年というイメージが強い神尾だが、4月期のドラマ『ナンバMG5』(フジテレビ系)では、クールなヤンキーを演じ、演技の幅を広げた。現在、23歳だが少年のイメージが強すぎるため、しばらく学生役が続きそうだが、基本的に演技力のある俳優なので、大人びた役も演じてほしい。

 神尾と共に『17才の帝国』に出演した望月歩も、少ない出番の中で、地方都市をまとめる官僚・林完を好演。22年は7月期のドラマ『石子と羽男 -そんなコトで訴えます?-』(TBS系)や、11~12月に放送された『早朝始発の殺風景』(WOWOW)など、多数のドラマに出演。脇で光る演技を見せる若手俳優として、着々と評価を上げてきた望月だが、そろそろ大きな役も見たいところ。23年は、正月時代劇『ホリディ~江戸の休日~』(テレビ東京系)で葵わかなとダブル主演するため、一気に飛躍するかもしれない。

 望月と同じ『早朝始発の殺風景』に、山田杏奈とダブル主演した奥平大兼も若手の注目株。映画『MOTHER マザー』(20年)で、母親からネグレクトを受けている小学生役で俳優デビューした奥平は、それ以降、着々とキャリアを積み、現在19歳。年相応の少年を自然に演じられるのが奥平の強みで、すでに演技派としての貫禄すら備わりつつある。23年はDisney+で配信されるファンタジードラマ『ワンダーハッチ -空飛ぶ竜の島-』で中島セナとのダブル主演が決定しており、世界的成功も見え始めている。

『エルピス』で一皮むけた眞栄田郷敦――少年漫画の実写ドラマ抜てきで世界的ブレークも?

 一方、“圧倒的な眼力”で俳優として一皮むけたのが、眞栄田郷敦。父は千葉真一、兄は新田真剣佑という俳優界のサラブレッドといえる家系で、すでに『プロミス・シンデレラ』(TBS系/21年)等のドラマにも出演していたが、今年は10月期のドラマ『エルピス―希望、あるいは災い―』(カンテレ・フジテレビ系)に出演したことで一気にブレーク。

 本作で眞栄田が演じたのは、テレビ局で働く若手ディレクター・岸本拓朗。世間知らずのお坊ちゃんだった岸本が、冤罪事件を取材する中でジャーナリストとして成長していく姿を眞栄田は好演しており、最終話では、最初とは別人のような顔立ちに変わっている。圧倒的な眼力が買われての起用だったが、本作で若手俳優のトップとして一気に躍り出たと言えるだろう。

 一方、5~6月に放送されたNHK夜ドラ『カナカナ』では主演を務めており、元不良の居酒屋の大将・マサ(日暮正直)を演じている。こちらは強さが前面に出たキャラクターとなっていたが、アクションもできる俳優なので、動画配信サービス制作で派手なバトルのある少年漫画の実写ドラマにでも抜てきされれば、世界的ブレークも夢ではないだろう。

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岸本の変わりっぷりはすごかった
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