仁科友里「女のための有名人深読み週報」

杉田水脈氏は“オジサン”の操り人形である――「ともかく目立つ」「弱い者を叩く」政治家としての処世術が限界のワケ

2022/12/09 12:30
仁科友里(ライター)

杉田水脈氏――世襲でもない、“すごいプロフィール”もない女性が政治家になる方法

 政治家には、地盤(組織)、看板(知名度)、カバン(資金)の“三バン”が必要といわれている。その結果、これらを生まれながらに持っている二世、三世議員は、政治の世界で有利な立場といえ、実際、岸田文雄総理大臣も三世議員、安倍元首相も岸信介元首相ら多くの政治家を輩出した政治家一家の一員だ。自民党の女性政治家でいうと、総理大臣を目指すことを公言している衆議院議員・野田聖子氏、小渕優子氏も世襲である。

 そのほかの女性政治家では、自民党参議院議員の丸川珠代氏は元テレビ朝日の女子アナ、立憲民主党参議院議員の蓮舫氏も、音響機器メーカーのキャンペーンガール「クラリオンガール」を経てタレント活動を行っていた過去があり、また自民党衆議院議員の稲田朋美氏はかつて弁護士として働いていた。

 いくつかのケースから結論付けてしまうのは危険な行為だが、政治家の家に生まれなかった女性が政治家になるためには、女子アナ、タレント、弁護士といった“すごいプロフィール”が必要なのではないだろうか。

 一方、杉田氏は地方公務員を経て、政治の道を志した。現場を知る人が政治家になるのはいいことだと思うが、世襲でもなく、また女子アナ、タレント、弁護士といった目立つ経歴もない杉田氏は、選挙戦においてかなり不利な立場だったといえる。

 世襲やプロフィールで戦えないのであれば、発言で目立つ必要がある。政治家にとって、自分に投票してくれる支持団体は絶対に確保しておきたいところだろうから、特定のターゲットに刺さる内容であることも重要だが、そこで彼女が狙いを定めたのは、日本社会において最も優位な立場である“オジサン”という組織だったのではないか。

なでしこ復活 女性政治家ができること / 杉田水脈/著
なぜ「杉田水脈」が生まれたのかこそ考えるべき
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