仁科友里「女のための有名人深読み週報」

『ワイドナショー』武田鉄矢を「老害」から「いじってもいい人」に味変させた野沢直子のスゴ技

2022/11/17 21:00
仁科友里(ライター)

武田鉄矢が「老害」から「しょうもない人」へ

 司会の東野幸治は「それ、言わんでええのよ」とツッコみ、武田本人も「そうだよな。そんなこと言わなくていいよな」と乗っかってみせたが、面目を潰されたと思ったのか、再度野沢に「最近、ラーメン食べた?」と、これまでの話に関係のないことを質問。すると野沢は「ラーメン食べましたよ」と答え、「だから、ラーメン(の話)も前に言ったじゃないですか」と指摘したのだった。

 見ている側はヒヤヒヤしたものの、武田に発言権を奪われた西川が「全然覚えてないんですね」と笑ってツッコみ、私にはその場が丸く収まったように感じた。

 自分より若い芸能人が話しているのに、それをさえぎって会話に入ってくる武田を、「老害」と見る人もいるだろう。しかし、野沢が「この話、すごいしましたよね」とはっきり言ったことで、武田は「老害」から「いじってもいい人」「しょうもない人」へと見事に“味変”を遂げたように感じる。

 発言をさえぎられた西川は気の毒ではあるものの、スタジオ全体に笑いが起きたので、これはこれでアリではないだろうか。野沢も自身の面白さをアピールできたし、出演者の誰も損をしていない。

 ひと昔前のテレビでは、武田のような大御所に若い女性タレントがツッコみ、大御所がやに下がって喜ぶ……という場面がよく見られた。しかし、今のテレビでそれをやると、「セクハラ的」と見る人もいるだろう。何より、今の武田はキャリアの浅い若い女性タレントでは制御できないように思われる。そこにきて、キャリアのある野沢の立ち居振る舞いは、視聴者を嫌な気持ちにさせないし、見事と言わざるを得ない。

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芸能界に野沢直子がいてよかった
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