[女性誌レビュー]「婦人公論」2022年11月号

歯に人生狂わされ、夫選びも妥協! 歯の大切さを熱く訴える「婦人公論」

2022/10/29 16:00
島本有紀子(ライター)

“歯”がきっかけで「どうでもいい人」と結婚

 最後に見ていくのは、読者体験手記。こちらもテーマは「歯」です。1通目の77歳女性の手記には、一条のインタビューと同じく“歯の大切さ”を痛感させられます。

 この女性は20代前半の頃、歯科実習生に抜く必要のなかった奥歯を合計4本抜かれ、さらに仮の歯も入れずに放置されたことがきっかけで、若い頃から入れ歯生活に。入れ歯に引け目を感じ、「好きな人に恥をさらして嫌われるくらいなら、どう思われてもいい人と結婚したほうが」と考えるほどになり、結局「私をお手伝いとしか考えていない、好きでもない男性と夫婦になることにした」そう。

 そんなに人を自暴自棄にさせてしまう入れ歯、なんとおそろしいものなのでしょうか。結婚後、インプラント治療に600万円。それから30年たち、新しい歯を作るために再び200万円。診察台も毎回1万円を超えているそうです。

 さらに怖いのは、結婚した「どうでもいい人」「私をお手伝いとしか考えていない、好きでもない男性」について、それ以外一切触れられていないこと。いまだに「どうでもいい人」で「好きでもなんでもない人」であり続けているのでしょうか。

 そんな相手と何十年もの結婚生活を送らせる元凶となった「歯」。人生を狂わせる可能性のある、こんなにもおそろしい存在が口の中に並んでいるのだ……と実感し、ぞわりとします。毎日の歯みがきは、きちんとしよう! 子どもの頃に習ったことを再確認させられます。



島本有紀子(ライター)

島本有紀子(ライター)

女性ファッション誌ウォッチャー。ファッションページから読み物ページまでチェックし、その女性誌の特性や読者像を想像するのが趣味。サイゾーウーマンでは、「ar」(主婦と生活社)と「Domani」(小学館)レビューを担当していた。

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最終更新:2022/10/29 16:00
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