【連載】堀江宏樹に聞く! 日本の“アウト”皇室史!!

沈黙と笑顔を巧みに使い分ける「恐るべし秋篠宮」――インタビュー録『秋篠宮』に見る混迷

2022/06/18 17:00
堀江宏樹(作家・歴史エッセイスト)

堀江 そうなんです。宮さまが“お友達記者”に自分を弁護させようとしたのでは、という批判もありましたが、まったく違います。秋篠宮さまを全面的に援護する書物ではありえないですね。江森さんご自身が、そういう秋篠宮さまに翻弄された一人の国民というメッセージを文章の端々から発しているんです。遠回しながら、宮さまに対する批判ということにもなりますね。驚くべきことですが。

 しかし、私は装丁のほうにびっくりしてしまいましたね。

――白い無地のカバーに、黒いシンプルな字体で「秋篠宮」などとあるだけですよね。皇室本の定番は、カラフルな表紙で、御本人のお写真が掲載されるのが定番なのに。

堀江 江森さんの旧著『秋篠宮さま』(毎日新聞社)も、大きなトカゲにまたがる宮さまのお姿が表紙でしたよね。それにくらべると『秋篠宮』の装丁は、あまりに素っ気なさすぎるんじゃないか……と思っていたのですが、ある時、すごいことに気づいて「あっ」と声を上げてしまいました。

 カバーを取ると、独特のオレンジ色が覗いているんですよ。あのオレンジ色こそ、皇嗣もしくは皇太子しか纏うことができない、黄丹袍(おうにのほう)の「禁色(きんじき)」なんです。その文脈で考えていくと、白は袴(=ズボン)の色ですね。黒は靴や冠の色です。

書籍本体の色は、まさしくこの配色(C)gettyimages

 国民の反対に気づいていながらも、自分の意思を貫いたり、長年親交のある記者に対しても曖昧な態度を取る。そういうところも含めて「これが秋篠宮のすべてだ」「これが秋篠宮という人だ」って装丁からして言い切っちゃってるのが『秋篠宮』なのです。読者がどの程度、そういう「ウラ」に気づいているかはわかりませんが……。

秋篠宮
決して腹の中は見せないね
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