『ザ・ノンフィクション』レビュー

『ザ・ノンフィクション』新人にはつらい人事ローテーションの不実施「新・上京物語2022 前編 ~18歳 夢のあとさき~」

2022/03/22 19:21
石徹白未亜(ライター)

 日曜昼のドキュメント『ザ・ノンフィクション』(フジテレビ系)。3月20日の放送は「新・上京物語2022 前編 ~18歳 夢のあとさき~」。

あらすじ

 若者の初就職を見つめる毎年春の人気シリーズ『新・上京物語』の2021年度版。2021年4月、浅草に本店のある洋食店「レストラン大宮」に3人の新人が入る。栃木県の高校の調理科を卒業した千春と楽壱(らいち)、そして彼らより1つ年上で、茨城県出身で、調理師専門学校を卒業したあかりだ。

 千春は寮にある狭い台所を駆使して、一人でも料理をしていた。料理の道を志したのは中学生の頃で、闘病生活で食欲のない祖母のために料理を作り喜ばれたことがきっかけだったという。調理科のある高校へ進学し朝6時の電車に乗り、学校ではパティシエ部とそば打ち部に所属し、料理漬けの高校生活を送っていた。

 しかし、楽壱、あかりは厨房配属となったが、千春の配属はホールになる。数カ月おきに持ち場は変わるとは言われていたものの、調理の経験を積んでいく2人を横目に千春は焦燥感を募らせる。

 ローテーション期間を過ぎても千春のホール業務が続く中、6月、千春は故郷の栃木に初めて帰省する。千春は上京後、家族からのLINEや電話をあまり返していなかった。帰省時も、千春の帰りを待っていた家族たちを前に、仕事の不満や焦燥感は伝えず、笑顔で過ごす。

 しかし帰りがけに両親が渡した手紙には「明けない夜はありません」とつづられており、両親は娘の様子に思うところもあったようだ。東京に戻る電車の中で千春は一人涙する。

新人のつらさとは「待つしかできない」こと

 昨年の「新・上京物語」もレストラン大宮の話だった。その際は、新人の「超早期離脱」という結果になり、オーナーの大宮勝雄シェフに同情したものだが、今回の放送を見る限りは、同店の人事ローテーションに問題があるように見えた。

 厨房希望の千春はホールに配属されるも、数カ月おきに配属先はローテーションされると伝えられていた。同期入社の厨房配属の2人がみるみる調理のスキルを上げていくのを傍らで見るのは千春にとってつらい日々だったと思うが、「数カ月でローテーションされる」ことが、希望でモチベーションだったと思う。

 しかし番組内で、その期日が過ぎてもローテーションは実行されなかったと伝えられた。店側にも事情があったのかもしれないが、その事情は千春に伝えたほうがいいし、千春はあらかじめ聞いていた人事が実施されなかったことについて怒っていいと思う。しかし、新人の立場で怒るわけにはいかない気持ちもとてもよくわかる。「待つことしかできない」というのが新人のつらさだ。

浅草 レストラン大宮 大宮シェフ監修 三河赤鶏 粒マスタードソース
配属理由を納得いくまで説明してほしいよね
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