『ザ・ノンフィクション』レビュー

『ザ・ノンフィクション』修業の終了間近に退職したきっかけ「ボクらの丁稚物語2022 ~涙の迷い道と別れ道~ 後編」

2022/03/07 17:56
石徹白未亜(ライター)

『ザ・ノンフィクション』理由を言葉にできない人たち

 5年間の修業生活のうち、4年半まで来たところで退職した佐藤だったが、その理由は語られなかった。もちろん、放送されなかっただけの可能性もあるが、『ザ・ノンフィクション』を見ていると自分の気持ちをはっきり言葉にしない、できない人を少なからず見かける。

 精神的に疲れ切って言葉にする労力が残っていないのかもしれないし、言葉では拾いきれないものがあって話さないのかもしれない。

 あるいは、「自分の思いを言葉にする」という習慣がそもそもない人もいるのではないか。男性の場合、女性より自分の感情を言葉として表に出すことに対し、社会的な圧も存在するだろう。

 それでも、心の中にあるなんだかモヤモヤとしたことを、言葉に変換していくのが「考える」ことだと思う。そもそも、言葉にしないと周囲も理解することがより難しくなってしまい、腫れ物に触るように扱われてしまうだろう。しかし『ザ・ノンフィクション』を見ていると、「言葉にできない人」は案外多いのだと思う。

 一方、今回の秋山木工に限った話ではないが、『ザ・ノンフィクション』で若者の就業をテーマにする回では、「親孝行」「親への恩返し」を目的に挙げる出演者が多い。山田もシングルファザーとして自分を育ててくれた父親に恩返しをしたいと話していた。

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