中学受験、最後の模試で「合格率20%以下」、親は志望校を変えさせるべき?

2021/12/12 16:00
鳥居りんこ(受験カウンセラー、教育・子育てアドバイザー)

塾の最終面談の後、子どもを安心させた母の意外な一言

 塾での最終面談の際に母である友美さん(仮名)は塾の先生に「お話は理解しました。家でよく検討しますね」と言って塾を出たのち、陸也さんにこう言ったのだそう。

「陸也、ママ、お腹空いたから焼肉〇〇屋に行く。付き合う?」

 そして、カルビを焼きながら、陸也さんにこう言ったとか。

「陸也、肉、おいしいね。ママ、ハラミも食べちゃおっと♪」

「なんか不思議なんですけど、母がうまそうに肉を平らげているのを見て『やっぱS学院受けよう!』って思ったんですよね。受験については『陸也は大丈夫だから、心配してない』って一言、言っただけで、ひたすら肉を食ってました(笑)」

 S学院は2回入試を行っている学校で、陸也さんの1回目は不合格。2回目の方が難易度は上がるので、ここでも塾はS学院ではない、より安全な進学校を勧めてきたという。

「それで、親に『やっぱり2回目のS学院を受けさせてください』ってお願いしたんです。そしたら、両親とも『いんじゃない? 受験は慣れだから!』って。いい加減っていうのか、テキトーって言うのか(笑)。でも、正直、テンパっていた僕には、その『いんじゃない?』でリラックスできたってのもありますね。開き直ったのもありますけど、なんか、落ち着いて受けられたんです。もし、あの時、一緒にオタオタされていたら、間違いなく、僕はS学院を受けてなかったと思いますから、親には感謝しています」

 友美さんにも、当時のことを聞いてみた。

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