【連載】堀江宏樹に聞く! 日本の“アウト”皇室史!!

皇族の“特権”を失った元・プリンセスはハードモード! 「使用人」として生きた皇女の忌まわしい事件

2021/11/20 17:00
堀江宏樹(作家・歴史エッセイスト)

屋敷に強盗が侵入、路上で衣服を剥ぎとり……

――花山法皇の実の娘、つまり皇女に生まれていながら、父親の気まぐれで使用人の世界に落とされた不運な元・プリンセスがいたのですね。ちなみにその皇女のお名前は?

堀江 それが、まったくわからないのです。それは彼女が実に忌まわしい事件に巻き込まれたことと無縁ではないでしょうね。

――例の全裸凍死事件ですか……。

堀江 彼女のことを元・プリンセスと便宜上、呼ぶことにしましょう。彼女はときの皇太后・藤原彰子にお仕えする女房として働いていました。しかし、万寿元年(1024年)の12月の凍える夜、彼女が滞在していた屋敷に強盗が侵入。

 元・プリンセスを屋敷から連れ出し、路上で衣服を剥ぎとり、そのまま放置して去ったのだそうです。

 女房は女性使用人ですが、身分の高い主人に仕えている都合上、高価な衣服をまとっています。その衣服を剥ぎ取られ、路上に放置された元・プリンセスはおそらくショックで失神中に凍死、もしくは平安京に多くいた野犬の群に襲われて死亡。血まみれの無残な死体が翌朝発見され、大ニュースとなったのでした。

――えええっ! どれだけ怖かったでしょうか。

堀江 当時の貴族社会のご意見番のような藤原実資の日記『小右記』にも見られる記事なので、本当にあった悲惨な話と見るべきでしょう。

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