オンナ万引きGメン日誌

「子どももいるのでお願いです。助けてください!」示談金を押しつける万引き主婦の恐るべき執念

2021/11/13 16:00
澄江(保安員)

書留で届いた示談金

 およそ2週間後。くだんの店に仕事で入ると、あの時以来話せていなかった店長が、あいさつに出向いた私の姿を認めるや駆け寄ってこられました。

「この前は、ごめんね。ありがとうございました」
「いえ、大丈夫です。その後、いかがですか」
「あれから来てないんだけど、この前、お店に書留が届いてね。中にお金が入っていてさ。手紙もついていて読んでみたら、あの人からで、これで許してくれって書いてあるんだよ」

 現金書留のため住所氏名が封筒の表面に記入してあり、自分がいれば受け取っていなかったと話していますが、従業員が留守中に受け取ってしまったそうです。

 おそらくは弁護士や専門医師による助言があったのでしょう。謝罪は拒否されたが示談金は受け取ってもらえたと公判で情状酌量を求めるために、示談金を押し付けるような手法を使われることもあるのです。本部に報告したところ、返すのにも経費がかかると言われ、そのまま受け入れることになったと話していました。

 その後の彼女が、どのような判決を受けたかわかりませんが、子どもさんと平穏に暮らせていることを願うばかりです。

(文=澄江、監修=伊東ゆう)

澄江(保安員)

澄江(保安員)

万引きGメン(保安員)歴40年以上。スーパーで品出しのパートをしている時に、万引き犯を捕まえたことがきっかけで、この世界に。現在も週5日は現場に立っている。

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最終更新:2021/11/13 16:00
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