オンナ万引きGメン日誌

最先端AIの目は万引き犯を見つけられるのか? ベテランGメンとの対決の結果はいかに――

2021/10/23 16:00
澄江(保安員)

AIで万引き犯を探せ

 建物から出て、搬入口の脇にある物陰で、あらためて挨拶を交わします。

「今日一日、よろしくお願いいたします。最近、いかがですか?」
「大量盗難は3カ月くらい発生していないけど、アルバイトさんの内部不正があったり、ちょこちょこは(被害が)あると思うよ。それと今、この機械をモニター設置していてさ。米と酒、それと化粧品売場に仕掛けてあるんだ。ピーピー鳴るから、使ってみて」
「顔認証ですか」
「ううん、これは万引きとか不審な動きにAIが反応するやつ。初日は気にして使ってみたけど、どうかなって感じでさ。Gメンさんの感想も聞いてみたくて」

 20年以上前、同じような防犯機器を導入した大型書店で実証を兼ねた勤務をした経験はありますが、その結果は芳しくないものでした。

 発報して駆けつけ、対象者の行動を見守ることを繰り返すも、不審点がない人ばかりで見守る必要性が感じられないのです。その当時のモノは、首が動いたり、しゃがんだりする動作などに反応していただけのようで、とても不審者検知を謳えるような代物とは思えませんでした。

 近頃の現場において、顔認証システムの端末を持たされることは増えてきましたが、AIによる不審者検知の端末を持たされるのは初めてのこと。この20年ほどのあいだに、どれだけ技術が進歩したのか確認できる機会を頂き、新しいおもちゃを得た子どものような気持ちで現場に入ります。

万引き
AI技術の限界を感じる……
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