老いゆく親と、どう向き合う?

姉との関係はずっと悪かった――姉妹で「連絡を取らないよう」仕向けていた母の意図とは?

2021/10/24 18:00
サイゾーウーマン編集部(@cyzowoman

「救急車を呼んで」と早朝に電話が

 決定的なできごとがあった。姉の娘の結婚式直前のことだった。リゾート地で式を挙げるというので、親族は前日に空港で集合する予定だった。その日の早朝のことだ。

「母から電話が入ったんです。朝起きると具合が悪くて動けない。救急車を呼んで、と」

 多恵子さんは姉家族には先に行ってもらうように連絡を入れて、久江さんのもとに駆け付けた。だが――

「母はキレイにお化粧をして、着飾って玄関にいました。『大丈夫なの?』と言うと、大したことはないから救急車には帰ってもらったと言うんです」

 多恵子さんは心配していた気持ちがすっかり冷めたと明かす。

「母は、花嫁である孫娘が主人公になることが気に食わなくて、自分が具合を悪くして皆に心配してもらって注目を集めようとしたんでしょう。明確な意図があったかどうかはわからなくても、無意識のうちにそういうことをするんです。それで気がすんだのでしょう、皆から気を使ってもらって式の最中は終始ご機嫌でした」

 姉も多恵子さんと同意見だった。これまで母親から聞かされていた互いの悪口も、内容を誇張して伝え、姉と妹が反目し合うように仕向けていたこともわかった。「やっぱりね」と二人はうなずき合った。

「救急車騒ぎもこのときだけではありません。たぶん救急隊のブラックリストに載っていると思います。以前姉が友人と旅行を計画していたときも、旅行前日に救急隊から母が倒れて病院に搬送したという連絡が姉に入ったんです。姉は旅行をキャンセルして病院に行くと、母はケロっとして待合室で待っていたそうです」

 母親は志津子さんに付き添われて機嫌よく帰宅した。志津子さんの旅行がパーになったことについては謝罪の言葉ひとつなかったという。

――続きは11月7日公開

最終更新:2021/10/24 18:00
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