『ザ・ノンフィクション』レビュー

『ザ・ノンフィクション』YouTubeと小説で稼ごうとする68歳、浮世離れした存在「ちょっと心配な家族がおりまして~母と私と姉夫婦の話~」

2021/09/27 17:45
石徹白未亜(ライター)

浮世離れした68歳、シゲキ

 今回は、キャラクター性が強い「中高年」かつ「金の問題」と、『ザ・ノンフィクション』らしい内容だと感じた。

 予告を見ていた段階ではチエが浮世離れしているのかと思ったが、シゲキのそれはチエとは桁違いだった。少しでもチエ夫婦の引っ越し費用が浮けばと「私」と母が引っ越しの手伝いにきたときも、シゲキは、自分はYouTubeを撮影するからと、まったく悪気なさそうに部屋に引っ込んでしまった。

 「面倒くさいこと(金策含む)は誰かがしてくれる」という意識で、悪気も罪悪感もゼロで70歳近くまで生きてこれたのがすごい。箸にも棒にもかからなそうな自作の小説に対し「直木賞のパターン」と言ってのけたときも、ジョークではなく本気に見えた。

シゲキのYouTubeチャンネルが炎上状態に

 シゲキが学問について語るYouTubeチャンネル「ブルース・ポチ」のチャンネル登録者数は、番組放送中は48人だったが、翌日朝には327人となっていた。これだけ数を伸ばしたのは番組出演の成果だろうが、案の定というか、高評価の10倍ほど低評価が入っており、コメント欄は炎上状態だ。

 低評価やコメントを残した人は、番組を見たあとに「まだシゲキを見たい」と思ってわざわざ視聴しにきたのだろうし、そう思わせるのは並大抵のことではない。売れっ子YouTuberになるためには、絶対にあったほうがいい素質だろう。

 しかしシゲキは「自分の浮世離れ感」に自覚的でなく、とても天然な人に見える。シゲキの小説が認められないのもシゲキの「面白い」のアンテナがずれているからなのだろう。

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